March 28, 2013 Vol. 368 No. 13
高齢患者におけるオフポンプ冠動脈バイパス術とオンポンプ冠動脈バイパス術との比較
Off-Pump versus On-Pump Coronary-Artery Bypass Grafting in Elderly Patients
A. Diegeler and Others
高齢者に対する人工心肺を用いない冠動脈バイパス術(CABG)の有益性は,まだ明らかにされていない.
待期的な初回 CABG が予定されていた 75 歳以上の患者を,人工心肺を用いずに手術を行う群(オフポンプ CABG 群)と,人工心肺を用いて手術を行う群(オンポンプ CABG 群)に無作為に割り付けた.主要評価項目は,術後 30 日および 12 ヵ月の時点での,死亡・脳卒中・心筋梗塞・再血行再建・腎代替療法の新規開始の複合とした.
2,539 例が無作為化された.術後 30 日の時点では,オフポンプ群とオンポンプ群とのあいだで,複合評価項目(7.8% 対 8.2%;オッズ比 0.95;95%信頼区間 [CI] 0.71~1.28;P=0.74)にも,そのうちの 4 項目(死亡,脳卒中,心筋梗塞,腎代替療法の新規開始)にも,有意差は認められなかった.再血行再建は,オフポンプ CABG 後のほうがオンポンプ CABG 後よりも高頻度に発生した(1.3% 対 0.4%;オッズ比 2.42;95% CI 1.03~5.72;P=0.04).12 ヵ月の時点では,複合評価項目(13.1% 対 14.0%;ハザード比 0.93;95% CI 0.76~1.16;P=0.48)にも各項目のいずれにも,群間で有意差は認められなかった.割り付けられた手術からもう一方の手術にクロスオーバーした 177 例を除外した per-protocol 解析でも,同様の結果が得られた.
75 歳以上の患者では,オンポンプ CABG とオフポンプ CABG とのあいだで,術後 30 日以内および 12 ヵ月以内の死亡・脳卒中・心筋梗塞・再血行再建・腎代替療法の新規開始から成る複合評価項目に,有意差は認められなかった.(Maquet 社から研究助成を受けた.GOPCABE ClinicalTrials.gov 番号:NCT00719667)