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April 4, 2013 Vol. 368 No. 14

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経皮的冠動脈インターベンション時のカングレロール投与による血小板阻害が虚血性イベントに及ぼす影響
Effect of Platelet Inhibition with Cangrelor during PCI on Ischemic Events

D.L. Bhatt and Others

背景

経皮的冠動脈インターベンション(PCI)時の抗血小板療法の強度は,PCI に関連する虚血性合併症の重要な決定因子である.カングレロール(cangrelor)は,速効性で,速やかな可逆性を示す,静注用のアデノシン二リン酸(ADP)受容体拮抗薬である.

方 法

二重盲検プラセボ対照試験において,緊急または待期的 PCI が予定され,ガイドラインで推奨される治療を受けていた 11,145 例の患者を,カングレロールのボーラス投与と点滴静注を行う群と,クロピドグレルを用量 600 mg または 300 mg で投与する群に無作為に割り付けた.有効性の主要エンドポイントは,割付け後 48 時間時点での死亡,心筋梗塞,虚血による血行再建,ステント血栓症の複合とした.主な副次的エンドポイントは,48 時間時点でのステント血栓症とした.安全性の主要エンドポイントは,48 時間時点での重度の出血とした.

結 果

有効性の主要エンドポイントの発生率は,カングレロール群 4.7%,クロピドグレル群 5.9%であった(カングレロールによる補正オッズ比 0.78,95%信頼区間 [CI] 0.66~0.93,P=0.005).安全性の主要エンドポイントの発生率は,カングレロール群 0.16%,クロピドグレル群 0.11%であった(オッズ比 1.50,95% CI 0.53~4.22,P=0.44).ステント血栓症は,カングレロール群の 0.8%,クロピドグレル群の 1.4%に発生した(オッズ比 0.62,95% CI 0.43~0.90,P=0.01).試験薬投与に関連する有害事象の発生率は両群ともに低かったが,カングレロール群では,一過性の呼吸困難がクロピドグレル群よりも有意に多かった(1.2% 対 0.3%).主要エンドポイントに関するカングレロールの有益性は,事前に規定した複数のサブグループでも一貫して認められた.

結 論

カングレロールにより,ステント血栓症をはじめとする PCI 時の虚血性イベントの発生率が有意に減少し,重度の出血が有意に増加することはなかった.(Medicines Company 社から研究助成を受けた. CHAMPION PHOENIX ClinicalTrials.gov 番号:NCT01156571)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2013; 368 : 1303 - 13. )