前立腺癌に対する間欠的アンドロゲン除去療法と持続的アンドロゲン除去療法との比較
Intermittent versus Continuous Androgen Deprivation in Prostate Cancer
M. Hussain and Others
転移性ホルモン感受性前立腺癌でアンドロゲン除去療法を受けている患者の大多数では,去勢抵抗性が発現する.癌が進行する前にアンドロゲンを補充すれば,アンドロゲン依存性は持続するという仮説が立てられる.
転移性ホルモン感受性前立腺癌と新たに診断され,全身状態(PS)が 0~2 で,前立腺特異抗原(PSA)値が 5 ng/mL 以上の男性に,黄体形成ホルモン放出ホルモン類似体と抗アンドロゲン薬を 7 ヵ月間投与した.PSA 値が 4 ng/mL 以下に低下した患者を,ホルモン療法歴の有無,PS,転移の拡がり(小範囲か広範囲か)によって層別化し,持続的アンドロゲン除去療法と間欠的アンドロゲン除去療法に無作為に割り付けた.共通主要目的は,ハザード比の上限を 1.20 とする片側検定により,生存に関して,間欠的療法が持続的療法に対して非劣性であるかどうかを評価することと,無作為化後 3 ヵ月の時点で,QOL に群間で差があるかどうかを評価することである.
3,040 例を登録し,うち 1,535 例を解析の対象とした.内訳は,持続的アンドロゲン除去療法群 765 例,間欠的アンドロゲン除去療法群 770 例であった.追跡期間中央値は 9.8 年であった.生存期間中央値は,持続的療法群で 5.8 年,間欠的療法群で 5.1 年であった(間欠的療法による死亡のハザード比 1.10,90%信頼区間 0.99~1.23).間欠的療法は,3 ヵ月の時点での勃起機能とメンタルヘルスがより良好であることに関連したが(それぞれ P<0.001,P=0.003),その後そのような関連は認められなかった.治療に関連するグレードの高い有害事象の発生数には,群間で有意差は認められなかった.
この研究の結果は,統計的結論に達するものではなかった.転移性ホルモン感受性前立腺癌患者において,生存に関する信頼区間が非劣性の上限を超え,間欠的療法により持続的療法と比較して死亡リスクが 20%高くなることを排除しえないことが示唆された.しかし,イベントの発生数が少なすぎて,間欠的療法の有意な劣性を排除することもできなかった.間欠的療法により QOL はわずかに改善した.(米国国立がん研究所ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00002651)