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January 17, 2013 Vol. 368 No. 3

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HIV 初感染の短期抗レトロウイルス療法
Short-Course Antiretroviral Therapy in Primary HIV Infection

The SPARTAC Trial Investigators

背景

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)初感染に対する短期抗レトロウイルス療法(ART)は,疾患の進行を遅らせる可能性があるが,十分な評価は行われていない.

方 法

HIV 初感染の成人を,ART を 48 週間行う群,12 週間行う群,行わない群(標準治療)のいずれかに無作為に割り付けた.治療はセロコンバージョン後 6 ヵ月以内に開始した.主要エンドポイントは,CD4+細胞数が 350/mm3 未満,または長期 ART の開始とした.

結 果

計 366 例(男性 60%)が,48 週間の ART(123 例),12 週間の ART(120 例),標準治療(123 例)に無作為に割り付けられ,平均追跡期間は 4.2 年であった.主要エンドポイントに達した割合は,48 週間 ART 群で 50%であったのに対し,12 週間 ART 群と標準治療群ではそれぞれ 61%であった.48 週間 ART の標準治療に対する平均ハザード比は 0.63(95%信頼区間 [CI] 0.45~0.90,P=0.01)であり,12 週間 ART の標準治療に対する平均ハザード比は 0.93(95% CI 0.67~1.29,P=0.67)であった.CD4+細胞数が 350/mm3 未満であった患者の割合は,48 週間 ART 群で 28%,12 週間 ART 群で 40%,標準治療群で 40%であった.長期 ART を開始した患者の割合は,それぞれ 22%,21%,22%であった.主要エンドポイントまでの期間の中央値は,48 週間 ART 群では標準治療群よりも 65 週(95% CI 17~114)長かった.事後解析によって,ART 開始が推定されるセロコンバージョンの時点に近いほど,ART 開始から主要エンドポイントまでの期間が長くなる傾向が認められた(P=0.09).また,48 週間 ART によって,短期療法終了後 36 週の時点での HIV RNA 量は 0.44 log10 コピー/mL(95% CI 0.25~0.64)減少した.後天性免疫不全症候群(AIDS),死亡,重篤な有害事象の発生率に群間で有意差は認められなかった.

結 論

HIV 初感染の患者に対する 48 週間の ART によって,疾患の進行は遅延したが,遅延期間は治療期間よりも有意に長くはなかった.ART の中断が臨床転帰に有害な影響を及ぼすことを示す証拠は認められなかった.(ウェルカム・トラストから研究助成を受けた.SPARTAC Controlled-Trials.com 番号:ISRCTN76742797,EudraCT 番号:2004-000446-20)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2013; 368 : 207 - 17. )