The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

January 17, 2013 Vol. 368 No. 3

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

早期の HIV-1 抗レトロウイルス療法による CD4+ T 細胞回復の促進
Enhanced CD4+ T-Cell Recovery with Earlier HIV-1 Antiretroviral Therapy

T. Le and Others

背景

ヒト免疫不全ウイルス 1 型(HIV-1)感染後の抗レトロウイルス療法(ART)開始のタイミングと,CD4+ T 細胞数回復との関連は明らかにされていない.

方 法

HIV-1 感染急性期/初期の患者から成る前向き観察コホートの一部重複する 2 つの研究セットを対象に,48 ヵ月にわたる CD4+ 細胞数の推移を検討した.ART を受けていない期間にある患者 384 例を研究セット 1 とし,研究登録の直後,またはその後しばらくして ART を受け,血漿中 HIV ウイルス量が抑制されている患者 213 例を研究セット 2 とした.患者がウイルス量を抑制する ART を受けている 48 ヵ月以内に CD4+ T 細胞が 900/mm3 以上に回復する可能性とその速度を検討した.

結 果

ART を受けていなかった患者において,CD4+ 細胞数は,HIV-1 感染後間もなく自然に増加し,試験登録時の値(中央値 495/mm3,四分位範囲 383~622)から,推定感染日の約 4 ヵ月後までにピーク値に達し(中央値 763/mm3,四分位範囲 573~987),その後徐々に減少した.CD4+ 細胞数が 900/mm3 以上に回復した割合は,ART を早期(推定 HIV 感染日から 4 ヵ月以内)に開始した患者では約 64%であったのに対し,待期的(4 ヵ月を過ぎてから)に開始した患者では約 34%であった(P<0.001).ART の開始時の CD4+ 細胞数が 500/mm3 以上であったかそれ未満であったかで補正すると,ART を待期的に開始するほうが,早期に開始するよりも,CD4+ 細胞数が 900/mm3 以上に増加する可能性は 65%低く(オッズ比 0.35),回復速度は 56%遅かった(率比 0.44).ART 開始時の血漿中 HIV RNA 量と CD4+ T 細胞回復とのあいだに関連は認められなかった.

結 論

HIV-1 感染後 4 ヵ月のあいだに,CD4+ T 細胞数は一時的に自然回復する.この期間に ART を開始することは,CD4+ 細胞数が回復する可能性が増すことに関連する.(米国国立アレルギー感染症研究所ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2013; 368 : 218 - 30. )