September 12, 2013 Vol. 369 No. 11
男性における性腺ステロイドと身体組成,筋力,性機能
Gonadal Steroids and Body Composition, Strength, and Sexual Function in Men
J.S. Finkelstein and Others
テストステロン欠乏を診断する現行のアプローチは,さまざまなテストステロン値が身体に及ぼす影響や,テストステロン,エストラジオール,またはその両方の欠乏によって臨床症状の説明がされるのかどうかを考慮に入れていない.
20~50 歳の健常男性 198 例にゴセレリン酢酸塩を投与し(内因性のテストステロンとエストラジオールを抑制する目的),プラセボゲルまたはテストステロンゲル 1.25 g,2.5 g,5 g,10 g のいずれかに無作為に割り付け,1 日 1 回 16 週間投与した.別の健常男性 202 例に,ゴセレリン酢酸塩,プラセボゲルまたはテストステロンゲル投与のほか,アナストロゾール投与(テストステロンからエストラジオールへの変換を抑制する目的)を行った.体脂肪率と除脂肪体重の変化を主要転帰とした.皮下脂肪面積と内臓脂肪面積,大腿筋面積と大腿筋力,性機能も評価した.
体脂肪率は,アナストロゾール投与を行わない,プラセボ群,テストステロン 1.25 g/日群,2.5 g/日群において上昇した(平均テストステロン値はそれぞれ 44±13 ng/dL,191±78 ng/dL,337±173 ng/dL).除脂肪体重と大腿筋面積は,アナストロゾール投与を行わない,プラセボ群とテストステロン 1.25 g/日群の男性で減少した.レッグプレスの負荷強度はプラセボ群のみで低下した.概して,テストステロン用量が低くなるほど性的欲求は低下した.
男性が除脂肪体重,脂肪重量,筋力,性機能を維持するために必要なテストステロン量には大きなばらつきがある.アンドロゲン欠乏によって,除脂肪体重,筋肉量,筋力の低下が説明され,エストロゲン欠乏によって,体脂肪増加の主要な説明がなされた.そしてその両方が性機能低下に寄与していた.これらの知見は,男性の性腺機能低下症の評価と管理の方法の変更を支持するものである.(米国国立衛生研究所ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00114114)