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September 12, 2013 Vol. 369 No. 11

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非 ST 上昇型急性冠症候群に対するプラスグレルによる前処置
Pretreatment with Prasugrel in Non–ST-Segment Elevation Acute Coronary Syndromes

G. Montalescot and Others

背景

P2Y12 拮抗薬は非 ST 上昇型(NSTE)急性冠症候群の患者に有効であるが,投与のタイミング,すなわち冠動脈造影の前か後かで効果に違いがあるかどうかは明らかになっていない.われわれは,P2Y12 拮抗薬プラスグレル(prasugrel)を,診断の時点で投与する方法と,冠動脈造影後に経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の適応となった例にのみ投与する方法とで,効果を比較評価した.

方 法

NSTE 急性冠症候群を発症し,トロポニン陽性で,無作為化後 2~48 時間以内に冠動脈造影が予定されていた患者 4,033 例を登録した.患者を,冠動脈造影前にプラスグレル(負荷用量 30 mg)を投与する群(前処置群)と,プラセボを投与する群(対照群)に無作為に割り付けた.PCI の適応となった例には,PCI 施行時に前処置群にはプラスグレルをさらに 30 mg 投与し,対照群にはプラスグレル 60 mg を投与した.

結 果

主要有効性エンドポイントとした,7 日目までの心血管系の原因による死亡・心筋梗塞・脳卒中・緊急血行再建・糖蛋白 IIb/IIIa 阻害薬によるレスキュー治療(糖蛋白 IIb/IIIa レスキュー)の複合の発生率に,2 群間で有意差は認められなかった(前処置群のハザード比 1.02,95%信頼区間 [CI] 0.84~1.25,P=0.81).主な安全性エンドポイントとした,7 日目までの,冠動脈バイパス術(CABG)との関連を問わない心筋梗塞血栓溶解(TIMI)分類によるすべての重大な出血の発生率は,前処置群において上昇した(ハザード比 1.90,95% CI 1.19~3.02,P=0.006).CABG に関連しない TIMI 分類による重大な出血および生命に関わる出血の発生率は,それぞれ 3 倍と 6 倍に上昇した.前処置によって,7 日の時点で,PCI 施行患者(患者の 69%)における主要転帰の発生率は低下せず,TIMI 分類による重大な出血の発生率が上昇した.30 日の時点においても事前に規定したサブグループにおいても,すべての結果が確認された.

結 論

NSTE 急性冠症候群を発症しカテーテル検査が予定された患者に対して,プラスグレルによる前処置を行っても,30 日までの重大な虚血性イベントの発生率は低下せず,重大な出血性合併症の発生率が上昇した.(Daiichi Sankyo 社,Eli Lilly 社から研究助成を受けた.ACCOAST ClinicalTrials.gov 番号:NCT01015287)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2013; 369 : 999 - 1010. )