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March 13, 2014 Vol. 370 No. 11

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再発低悪性度リンパ腫患者におけるイデラリシブによる PI3Kδ阻害
PI3Kδ Inhibition by Idelalisib in Patients with Relapsed Indolent Lymphoma

A.K. Gopal and Others

背景

ホスファチジルイノシトール 3-キナーゼδ(PI3Kδ)は,B 細胞受容体シグナル伝達と,悪性 B リンパ球の増殖・生存を促進する微小環境による支持シグナルを仲介する.経口選択的 PI3Kδ阻害薬であるイデラリシブ(idelalisib)は,治療歴のある低悪性度非ホジキンリンパ腫患者を対象とした第 1 相試験において抗腫瘍活性を示した.

方 法

単群非盲検第 2 相試験において,リツキシマブとアルキル化薬による治療には反応しなかったか,治療後 6 ヵ月以内に再発した低悪性度非ホジキンリンパ腫患者 125 例に対し,イデラリシブ 150 mg の 1 日 2 回の投与を,増悪が認められるか患者が試験参加を中止するまで行った.主要エンドポイントは全奏効率とした.副次的エンドポイントは,奏効期間,無増悪生存,安全性などとした.

結 果

患者の年齢の中央値は 64 歳(33~87)で,前治療数の中央値は 4(2~12)であった.低悪性度非ホジキンリンパ腫の亜型は,濾胞性リンパ腫(72 例),小リンパ球性リンパ腫(28 例),辺縁帯リンパ腫(15 例),ワルデンシュトレーム・マクログロブリン血症の有無を問わないリンパ形質細胞性リンパ腫(10 例)であった.奏効率は 57%(125 例中 71 例)で,6%が完全奏効の基準を満たした.奏効までの期間の中央値は 1.9 ヵ月,奏効期間の中央値は 12.5 ヵ月,無増悪生存期間の中央値は 11 ヵ月であった.低悪性度非ホジキンリンパ腫の亜型は,一部では患者数が少なかったものの,観察された奏効率はすべて同程度であった.グレード 3 以上の有害事象で頻度が高かったのは,好中球減少(27%),アミノトランスフェラーゼ値上昇(13%),下痢(13%),肺炎(7%)であった.

結 論

この単群試験では,広範な治療歴のある低悪性度非ホジキンリンパ腫患者において,イデラリシブは抗腫瘍活性と忍容可能な安全性プロファイルを示した.(Gilead Sciences 社ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT01282424)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2014; 370 : 1008 - 18. )