January 2, 2014 Vol. 370 No. 1
アテローム性腎動脈狭窄症に対するステント留置術と薬物療法
Stenting and Medical Therapy for Atherosclerotic Renal-Artery Stenosis
C.J. Cooper and Other
アテローム性腎動脈狭窄症は高齢者で頻度の高い問題である.腎動脈ステント留置術は 2 つの無作為化試験では腎機能の点で有益性は示されなかったものの,腎および心血管系の主要な有害事象の予防における有用性については明らかではない.
アテローム性腎動脈狭窄症を有し,収縮期高血圧に対し降圧薬を 2 種類以上服用しているか慢性腎臓病(CKD)を有する 947 例を,薬物療法と腎動脈ステント留置術を併用する群と,薬物療法単独群とに無作為に割り付けた.心血管系および腎の有害事象(心血管または腎臓が原因の死亡,心筋梗塞,脳卒中,うっ血性心不全による入院,進行性腎不全,腎代替療法の必要性から成る複合評価項目)の発生に関して患者を追跡した.
追跡期間中央値 43 ヵ月(四分位範囲 31~55 ヵ月)で,主要複合評価項目の発生率に,薬物療法+腎動脈ステント留置術群と薬物療法単独群とのあいだで有意差は認められなかった(それぞれ35.1%と 35.8%,ステント留置術群のハザード比 0.94,95%信頼区間 [CI] 0.76~1.17,P=0.58).主要評価項目の各項目の発生率や全死因死亡率にも群間で有意差は認められなかった.追跡期間中,収縮期血圧についてはわずかではあるがステント留置術群のほうが良好であることを示す差が一貫して認められた(-2.3 mmHg,95% CI -4.4~-0.2,P=0.03).
アテローム性腎動脈狭窄症と高血圧または CKD を有する患者において,包括的かつ多元的な薬物療法に腎動脈ステント留置術を併用しても,臨床イベントの予防に重要な有益性をもたらさなかった.(米国国立心臓・肺・血液研究所ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 番号:NCT00081731)