先天性サイトメガロウイルス感染症を予防するための高力価免疫グロブリンに関する無作為化試験
A Randomized Trial of Hyperimmune Globulin to Prevent Congenital Cytomegalovirus
M.G. Revello and Others
ヒトサイトメガロウイルス(CMV)先天性感染症は,障害と死亡の主な原因である.2005 年に発表された非対照試験では,CMV に初感染した妊娠女性に CMV 特異的高力価免疫グロブリンを投与することで,子宮内伝播率が 40%から 16%へと有意に低下した.
無作為化プラセボ対照二重盲検第 2 相試験において,高力価免疫グロブリンの有効性を検討した.妊娠 5~26 週で CMV に初感染した女性 124 例を,推定感染発生時から 6 週間以内に高力価免疫グロブリンまたはプラセボに無作為に割り付け,4 週間ごとの投与を妊娠 36 週まで,または羊水に CMV が検出されるまで行った.主要評価項目は,出生時または羊水穿刺による先天性感染の診断とした.
有効性解析にて評価しえたのは 123 例であった(プラセボ群の 1 例は脱落した).先天性感染の発生率は,高力価免疫グロブリン群では 30%(女性 61 例に対し胎児または乳児 18 例),プラセボ群では 44%(女性 62 例に対し胎児または乳児 27 例)であった(差 14 パーセントポイント,95%信頼区間 -3~31,P=0.13).2 群間,また各群においてもウイルス伝播が認められた女性と認められなかった女性とのあいだで,ウイルス特異的抗体,T 細胞介在性免疫応答,血中ウイルス DNA の値に有意差は認められなかった.臨床転帰,すなわち出生時の先天性感染は 2 群で同程度であった.産科的有害事象発生率は,高力価免疫グロブリン群のほうがプラセボ群よりも高かった(13% 対 2%).
この試験で評価しえた 123 例では,高力価免疫グロブリンの投与によって妊娠中の CMV 初感染の経過に有意な変化はみられなかった.(イタリア医薬品庁から研究助成を受けた.CHIP Clinical Trials.gov 番号:NCT00881517,EudraCT 番号:2008-006560-11)