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January 9, 2014 Vol. 370 No. 2

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閉塞性睡眠時無呼吸に対する上気道刺激
Upper-Airway Stimulation for Obstructive Sleep Apnea

P.J. Strollo, Jr., and Others

背景

閉塞性睡眠時無呼吸は健康への大きなリスクに関連する.持続陽圧呼吸(CPAP)によってこれらのリスクを軽減することができるが,治療遵守が不良であれば有効性は低下する可能性がある.中等症~重症の閉塞性睡眠時無呼吸に対する上気道刺激の,12 ヵ月の時点での臨床的安全性と有効性を評価した.

方 法

多施設共同前向き単群コホートデザインにより,閉塞性睡眠時無呼吸であるが CPAP 療法の受容および遵守が困難な患者を対象に,上気道刺激装置植込み術を行った.主要評価項目は,無呼吸低呼吸指数(AHI;1 時間あたりの無呼吸または低呼吸イベントの回数で,スコア 15 以上で中等症~重症の無呼吸であることを示す)と,酸素飽和度低下指数(ODI;睡眠 1 時間あたりに,血中酸素濃度がベースラインから 4 パーセントポイント以上低下した回数)とした.副次的評価項目は,エプワース眠気尺度,睡眠の機能的転帰に関する質問票(FOSQ),酸素飽和度が 90%未満であった睡眠時間の割合とした.効果が認められた患者を連続的に無作為化対照治療中止試験に組み入れた.

結 果

対象は 126 例で,83%が男性であった.平均年齢は 54.5 歳,平均体格指数(BMI,体重 [kg]/身長 [m]2)は 28.4 であった.AHI スコア中央値は 12 ヵ月の時点で 68%低下し,29.3 回/時から 9.0 回/時に減少した(P<0.001).ODI スコアは 70%低下し,25.4 回/時から 7.4 回/時に減少した(P<0.001).副次的評価項目では,睡眠時無呼吸の影響の低減と QOL の改善が認められた.無作為化期においては,治療継続群の 23 例で,平均 AHI スコアに非無作為化期の 12 ヵ月時点のスコアとの有意差は認められなかった(それぞれ 8.9 回/時,7.2 回/時).AHI スコアは治療中止群の 23 例のほうが有意に高かった(すなわちより重症の無呼吸が示唆された)(25.8 回/時 対 7.6 回/時,P<0.001).ODI の結果も同様の傾向を示した.植込みに関連する重篤な有害事象の発生率は 2%未満であった.

結 論

この非対照コホート試験では,上気道刺激により,閉塞性睡眠時無呼吸の重症度の客観的・主観的評価項目に有意な改善が認められた.(Inspire Medical Systems 社から研究助成を受けた.STAR ClinicalTrials.gov 番号:NCT01161420)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2014; 370 : 139 - 49. )