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May 22, 2014 Vol. 370 No. 21

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術後膵液瘻に対するパシレオチド
Pasireotide for Postoperative Pancreatic Fistula

P.J. Allen and Others

背景

術後膵液瘻は,膵切除術に関連する合併症と死亡の主な原因である.ソマトスタチンアナログであるパシレオチド(pasireotide)は,オクトレオチドよりも半減期が長く,結合プロファイルが幅広く,膵外分泌を抑制するため,術後膵液瘻を予防できる可能性がある.

方 法

膵頭十二指腸切除術または遠位膵切除術を行う患者を対象として,周術期のパシレオチド皮下投与に関する単一施設無作為化二重盲検試験を行った.300 例を,パシレオチド 900 μg 皮下投与群(152 例)とプラセボ投与群(148 例)に無作為に割り付け,1 日 2 回の術前投与を手術当日の朝から開始し,7 日間継続した(計 14 回).無作為化は切除術の種類と,膵管の切断部位が拡張しているか否かにより層別化した.主要エンドポイントはグレード 3 以上(すなわちドレナージを要する)の膵液瘻,膵液漏出,膵膿瘍の発生とした.

結 果

主要エンドポイントは 300 例中 45 例(15%)に発生した.グレード 3 以上の術後膵液瘻,膵液漏出,膵膿瘍の発生率は,パシレオチド群のほうがプラセボ群よりも有意に低かった(9% 対 21%,相対リスク 0.44,95%信頼区間 [CI] 0.24~0.78,P=0.006).この結果は,膵頭十二指腸切除術を受けた 220 例(パシレオチド群 10% 対プラセボ群 21%,相対リスク 0.49,95% CI 0.25~0.95)と,遠位膵切除術を受けた 80 例(7% 対 23%,相対リスク 0.32,95% CI 0.10~0.99)においても,また,膵管拡張が認められた 136 例(2% 対 15%,相対リスク 0.11,95% CI 0.02~0.60)と膵管拡張が認められなかった 164 例(15% 対 27%,相対リスク 0.55,95% CI 0.29~1.01)においても一致していた.

結 論

周術期のパシレオチド投与により,臨床的に重大な術後膵液瘻,膵液漏出,膵膿瘍の発生率は有意に低下した.(Novartis Pharmaceuticals 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00994110)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2014; 370 : 2014 - 22. )