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September 11, 2014 Vol. 371 No. 11

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前立腺癌における AR-V7 と,エンザルタミドおよびアビラテロンに対する抵抗性
AR-V7 and Resistance to Enzalutamide and Abiraterone in Prostate Cancer

E.S. Antonarakis and Others

背景

スプライスバリアント 7 にコードされるアンドロゲン受容体アイソフォームは,エンザルタミドとアビラテロンの標的であるリガンド結合領域を欠いているが,転写因子として恒常的に活性化された状態を維持している.われわれは,進行前立腺癌患者の血中循環腫瘍細胞におけるアンドロゲン受容体スプライスバリアント 7 のメッセンジャー RNA(AR-V7)の検出と,エンザルタミドおよびアビラテロンに対する抵抗性は関連するという仮説を立てた.

方 法

エンザルタミドまたはアビラテロンのいずれかによる治療を開始している転移性去勢抵抗性前立腺癌患者を前向きに登録し,定量的逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)法を用いて血中循環腫瘍細胞の AR-V7 を評価した.AR-V7 の状態(陽性か陰性か)と,前立腺特異抗原(PSA)奏効率(主要評価項目),PSA 増悪がないこと(PSA 無増悪生存期間),臨床的または画像上の無増悪生存期間,および全生存期間との関連を検討した.

結 果

エンザルタミド療法を受けた患者 31 例とアビラテロン療法を受けた患者 31 例を登録し,血中循環腫瘍細胞に検出可能な AR-V7 が認められたのはそれぞれ 39%と 19%であった.エンザルタミド群では,AR-V7 陽性例は,陰性例と比較して PSA 奏効率が低く(0% 対 53%,P=0.004),PSA 無増悪生存期間が短く(中央値 1.4 ヵ月 対 6.0 ヵ月,P<0.001),臨床的または画像上の無増悪生存期間が短く(中央値 2.1 ヵ月 対 6.1 ヵ月,P<0.001),全生存期間が短かった(中央値 5.5 ヵ月 対 未到達,P=0.002).同様に,アビラテロン群では,AR-V7 陽性例は,陰性例と比較して PSA 奏効率が低く(0% 対 68%,P=0.004),PSA 無増悪生存期間が短く(中央値 1.3 ヵ月 対 未到達,P<0.001),臨床的または画像上の無増悪生存期間が短く(中央値 2.3 ヵ月 対 未到達,P<0.001),全生存期間が短かった(中央値 10.6 ヵ月 対 未到達,P=0.006).AR-V7 検出と治療抵抗性との関連は,全長アンドロゲン受容体メッセンジャー RNA の発現について補正後も維持された.

結 論

去勢抵抗性前立腺癌患者の血中循環腫瘍細胞における AR-V7 の検出は,エンザルタミドとアビラテロンに対する抵抗性と関連している可能性がある.この所見は,大規模かつ前向きに検証する必要がある.(前立腺癌財団ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2014; 371 : 1028 - 38. )