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September 18, 2014 Vol. 371 No. 12

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臨床的心不全を伴わない安定冠動脈疾患におけるイバブラジン
Ivabradine in Stable Coronary Artery Disease without Clinical Heart Failure

K. Fox and Others

背景

心拍数の上昇は,心血管リスクの確立されたマーカーである.これまでの分析から,安定冠動脈疾患,左室機能不全,心拍数 70 拍/分以上の患者は, 心拍数低下薬であるイバブラジン(ivabradine)によって転帰が改善する可能性が示唆されている.

方 法

臨床的心不全を伴わない安定冠動脈疾患を有し,かつ心拍数が 70 拍/分以上であった患者 19,102 例(うち 12,049 例は身体活動が制限される狭心症 [カナダ心血管学会(CCS)分類で II 度以上.CCS 分類は I~IV 度で,クラスが高いほど狭心症による身体活動の制限が大きい] を有していた)を対象に,標準の基礎療法へのイバブラジンの追加を評価する無作為化二重盲検プラセボ対照試験を行った.患者をプラセボ群とイバブラジン群に無作為に割り付け,1 回の投与量を最大 10 mg として 1 日 2 回投与し,目標心拍数である 55~60 拍/分を達成するように用量を調節した.主要評価項目は,心血管死亡または非致死的心筋梗塞の複合とした.

結 果

3 ヵ月の時点で,患者の平均(±SD)心拍数は,イバブラジン群で 60.7±9.0 拍/分であったのに対し,プラセボ群では 70.6±10.1 拍/分であった.追跡期間中央値 27.8 ヵ月の時点で,イバブラジン群とプラセボ群とのあいだで,主要評価項目の発生率に有意差は認められず(それぞれ 6.8%と 6.4%,ハザード比 1.08,95%信頼区間 0.96~1.20,P=0.20),心血管死亡率と非致死的心筋梗塞発生率にも有意差は認められなかった.身体活動が制限される狭心症を有する例では,イバブラジンは主要評価項目の発生率の上昇に関連したが,そのような狭心症を有しない例では関連は認められなかった(交互作用について P=0.02).徐脈の発生率は,イバブラジン群のほうがプラセボ群よりも高かった(18.0% 対 2.3%,P<0.001).

結 論

臨床的心不全を伴わない安定冠動脈疾患患者において,心拍数を低下させるためにイバブラジンを標準の基礎療法に追加しても,転帰は改善されなかった.(Servier 社から研究助成を受けた.SIGNIFY 試験:Current Controlled Trials 登録番号 ISRCTN61576291)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2014; 371 : 1091 - 9. )