November 13, 2014 Vol. 371 No. 20
BRAF 変異陽性悪性黒色腫に対するベムラフェニブとコビメチニブの併用
Combined Vemurafenib and Cobimetinib in BRAF-Mutated Melanoma
J. Larkin and Others
悪性黒色腫患者において,BRAF 阻害薬に MEK 阻害薬を併用することで,BRAF 阻害薬単独で認められる耐性の発現が予防または遅延され,臨床転帰が改善するという仮説が立てられている.この無作為化第 3 相試験では,BRAF 阻害薬ベムラフェニブ(vemurafenib)と MEK 阻害薬コビメチニブ(cobimetinib)の併用を評価した.
切除不能の局所進行または転移性の BRAF V600 変異陽性悪性黒色腫で未治療の患者 495 例を,ベムラフェニブ+コビメチニブ投与(併用群)とベムラフェニブ+プラセボ投与(対照群)に無作為に割り付けた.主要評価項目は研究者の評価による無増悪生存とした.
無増悪生存期間中央値は,併用群 9.9 ヵ月,対照群 6.2 ヵ月であった(死亡または増悪のハザード比 0.51,95%信頼区間 [CI] 0.39~0.68,P<0.001).完全奏効または部分奏効が得られた割合は併用群 68%に対し,対照群 45%であり(P<0.001),完全奏効率は併用群 10%,対照群 4%であった.独立判定委員会が評価した無増悪生存期間は,研究者が評価した無増悪生存期間と同程度であった.全生存率の中間解析により,9 ヵ月生存率は併用群 81%(95% CI 75~87),対照群 73%(95% CI 65~80)であることが示された.ベムラフェニブ+コビメチニブは,ベムラフェニブ+プラセボと比較して,グレード 3 以上の有害事象の発現率が高いことに関連したがその差は有意ではなく(65% 対 59%),また試験薬中止の割合に有意差は認められなかった.併用療法群では二次性皮膚癌の発生数が少なかった.
転移性の BRAF V600 変異陽性悪性黒色腫患者において,ベムラフェニブにコビメチニブを併用した場合,無増悪生存の有意な改善に関連したが,多少の毒性の増加を伴った.(F. Hoffman–La Roche/Genentech 社から研究助成を受けた.coBRIM 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01689519)