November 20, 2014 Vol. 371 No. 21
ROS1 再構成非小細胞肺癌におけるクリゾチニブ
Crizotinib in ROS1-Rearranged Non–Small-Cell Lung Cancer
A.T. Shaw and Others
非小細胞肺癌(NSCLC)には,ROS1 癌原遺伝子受容体チロシンキナーゼをコードする遺伝子(ROS1)の染色体再構成によって定義される特異な分子サブグループがあり,それらは ROS1 キナーゼ阻害薬に感受性を示す可能性がある.クリゾチニブは,未分化リンパ腫キナーゼ(ALK),ROS1,および別の癌原遺伝子受容体チロシンキナーゼである MET に対する低分子チロシンキナーゼ阻害薬である.
クリゾチニブの第 1 相試験の拡大コホートにおいて,検査で ROS1 再構成が認められた進行 NSCLC 患者 50 例を登録した.患者に,クリゾチニブを標準用量である 250 mg で 1 日 2 回経口投与し,安全性,薬物動態,治療効果を評価した.次世代シーケンシングまたは逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)法を用いて ROS1 融合パートナーを同定した.
完全奏効 3 例,部分奏効 33 例で,客観的奏効率は 72%(95%信頼区間 [CI] 58~84)であった.奏効期間中央値は 17.6 ヵ月(95% CI 14.5~未到達)であった.無増悪生存期間中央値は 19.2 ヵ月(95% CI 14.4~未到達)で,25 例(50%)は増悪について追跡を継続中であった.ROS1 融合パートナーは検査した腫瘍 30 検体で 7 種類同定され,うち 5 種類は既知の,2 種類は新規のパートナー遺伝子であった.ROS1 再構成の型とクリゾチニブの臨床効果とのあいだに相関は認められなかった.クリゾチニブの安全性プロファイルは,ALK 再構成 NSCLC 患者を対象とした先行試験で報告されたものと類似していた.
この試験では,クリゾチニブに,進行 ROS1 再構成NSCLC 患者における著明な抗腫瘍効果が認められた.ROS1 再構成によって,クリゾチニブが高い活性を示す NSCLC の第 2 の分子サブグループが定義される.(Pfizer 社ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00585195)