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December 11, 2014 Vol. 371 No. 24

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後期の常染色体優性多発性囊胞腎におけるアンジオテンシン阻害
Angiotensin Blockade in Late Autosomal Dominant Polycystic Kidney Disease

V.E. Torres and Others

背景

常染色体優性多発性囊胞腎(ADPKD)患者では高血圧が早期にみられ,疾患の進行に関連している.ADPKD 患者における高血圧発症には,レニン–アンジオテンシン–アルドステロン系(RAAS)の関与が示唆されている.RAAS の二重阻害によって,アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬またはアンジオテンシン II 受容体拮抗薬(ARB)単剤療法の有効性を制限する代償機構を,回避できる可能性がある.

方 法

二重盲検プラセボ対照試験において,18~64 歳の ADPKD 患者 486 例(推算糸球体濾過量 [eGFR] 25~60 mL/分/1.73 m2 体表面積)を,ACE 阻害薬(リシノプリル)+プラセボ群とリシノプリル+ARB(テルミサルタン)群のいずれかに無作為に割り付け,収縮期血圧 110~130 mmHg,拡張期血圧 70~80 mmHg を目標に投与量を調節した.複合主要評価項目は,死亡,末期腎不全,eGFR のベースラインからの 50%の低下のいずれかが発生するまでの期間とした.副次的評価項目は,アルドステロンおよびアルブミンの尿中排泄量の変化,あらゆる原因による入院および心血管系の原因による入院の頻度,疼痛の発現率,ADPKD 関連症状の頻度,QOL,試験薬の有害作用などとした.患者を 5~8 年間追跡した.

結 果

複合主要評価項目の発生率に群間で有意差は認められなかった(リシノプリル+テルミサルタン群のハザード比 1.08,95%信頼区間 0.82~1.42).いずれの治療によっても,血圧は同程度にコントロールされ,尿中アルドステロン排泄量も同程度に減少した.eGFR の低下率,尿中アルブミン排泄量の変化率,その他の副次的評価項目の発生率,および高カリウム血症や急性腎障害(AKI)などの有害事象の発現頻度も,2 群で同程度であった.

結 論

ステージ 3 の慢性腎臓病(CKD)を有する ADPKD 患者の多くで,ACE 阻害薬単剤療法は血圧のコントロールに関連した.ARB を追加しても,eGFR の低下に変化は認められなかった.(米国国立糖尿病・消化器病・腎臓病研究所ほかから研究助成を受けた.HALT-PKD [Study B] 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01885559)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2014; 371 : 2267 - 76. )