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March 19, 2015 Vol. 372 No. 12

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単純性皮膚感染症に対するクリンダマイシンとトリメトプリム・スルファメトキサゾールとの比較
Clindamycin versus Trimethoprim–Sulfamethoxazole for Uncomplicated Skin Infections

L.G. Miller and Others

背景

皮膚・軟部組織感染症は外来でよくみられる.しかし,市中感染型メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が流行している時代におけるさまざまな抗菌薬レジメンの有効性は,明らかにされていない.

方 法

蜂窩織炎,径 5 cm(低年齢の小児ではより小さく設定)を超える膿瘍,あるいはその両方を有する単純性皮膚感染症の外来患者を登録した.登録は 4 つの試験参加施設で行った.膿瘍はすべて切開排膿した.患者を,クリンダマイシンを 10 日間投与する群と,トリメトプリム・スルファメトキサゾール(TMP-SMX)を 10 日間投与する群に,1:1 の割合で無作為に割り付けた.患者と担当医師には,治療割付けと微生物学的検査の結果を伏せた.主要評価項目は,治療終了後 7~10 日の時点での臨床的治癒とした.

結 果

524 例を登録し(クリンダマイシン群 264 例,TMP-SMX 群 260 例),うち 155 例(29.6%)が小児であった.膿瘍は 160 例(30.5%),蜂窩織炎は 280 例(53.4%),膿瘍・蜂窩織炎の混合(独立した病変をそれぞれ 1 個以上認めることと定義)は 82 例(15.6%)で確認された.217 例(41.4%)の病変から黄色ブドウ球菌が分離され,このうち 167 例(77.0%)が MRSA であった.各群で治癒が認められた患者の割合は,intention-to-treat 集団では同程度であり(クリンダマイシン群 80.3%,TMP-SMX 群 77.7%;差 -2.6 パーセントポイント;95%信頼区間 [CI] -10.2~4.9;P=0.52),評価可能であった患者の集団(466 例)でも同程度であった(クリンダマイシン群 89.5%,TMP-SMX 群 88.2%;差 -1.2 パーセントポイント;95% CI -7.6~5.1;P=0.77).小児,成人,膿瘍のみを有する患者,蜂窩織炎のみを有する患者,その両方を有する患者のサブグループ解析においても,治癒率に群間で有意差は認められなかった.有害事象が発現した患者の割合は 2 群で同程度であった.

結 論

蜂窩織炎と膿瘍の両方を含む単純性皮膚感染症の治療として,クリンダマイシンと TMP-SMX とで,有効性と副作用プロファイルに関して有意差は認められなかった.(米国国立アレルギー感染症研究所,米国国立衛生研究所・国立先進トランスレーショナル科学センターから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00730028)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 372 : 1093 - 103. )