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March 19, 2015 Vol. 372 No. 12

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経口 SMAD7 アンチセンスオリゴヌクレオチドであるモンジャーセンとクローン病
Mongersen, an Oral SMAD7 Antisense Oligonucleotide, and Crohn’s Disease

G. Monteleone and Others

背景

クローン病に関連する炎症は,免疫抑制サイトカインであるトランスフォーミング増殖因子β1(TGF-β1)のシグナル伝達を阻害する SMAD7 の発現量が増加することで TGF-β1 の活性が低下するという特徴を有する.前臨床試験と第 1 相試験により,経口 SMAD7 アンチセンスオリゴヌクレオチドであるモンジャーセン(mongersen)が,回腸と結腸の SMAD7 を標的とすることが示されている.

方 法

二重盲検プラセボ対照第 2 相試験において,活動性クローン病患者の治療薬としての,モンジャーセンの有効性を評価した.患者を,モンジャーセン 10 mg 群,40 mg 群,160 mg 群,プラセボ群に無作為に割り付け,1 日 1 回,2 週間投与した.主要評価項目は,15 日の時点での臨床的寛解の維持とモンジャーセン投与の安全性とし,寛解の維持は,クローン病活動性指数(CDAI)が 150 未満で,寛解が 2 週間以上維持されていることと定義した.副次的評価項目は,28 日の時点での臨床効果(CDAI スコアで 100 ポイント以上の減少と定義)とした.

結 果

主要エンドポイントに達した割合は,プラセボ群 10%に対し,モンジャーセン 40 mg 群 55%,160 mg 群 65%であった(P<0.001).10 mg 群(12%)とプラセボ群とのあいだで,臨床的寛解に到達した被験者の割合に有意差は認められなかった.臨床効果の割合は,モンジャーセン 10 mg 群(37%),40 mg 群(58%),160 mg 群(72%)のほうが,プラセボ群(17%)よりも有意に高かった(それぞれ P=0.04,P<0.001,P<0.001).大部分の有害事象は,クローン病の合併症と症状に関連するものであった.

結 論

クローン病患者で,モンジャーセンを投与した被験者では,プラセボを投与した被験者と比較して,寛解と臨床効果が得られた割合が有意に高いことが明らかになった.(Giuliani 社から研究助成を受けた.EudraCT 登録番号 2011-002640-27)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 372 : 1104 - 13. )