直腸癌に対する腹腔鏡下手術と開腹手術との無作為化比較試験
A Randomized Trial of Laparoscopic versus Open Surgery for Rectal Cancer
H.J. Bonjer and Others
大腸癌の腹腔鏡下切除は広く行われている.しかし,直腸癌について,腹腔鏡下手術と開腹手術とで同程度の転帰が得られることを示す確固としたエビデンスはない.われわれは,直腸癌に対して腹腔鏡下切除術と開腹切除術とを比較する試験を行った.ここでは,3 年の時点での骨盤または会陰部における再発率(局所再発率)と生存率を報告する.
30 病院で実施した国際臨床試験において,肛門縁から 15 cm 以内に孤立性直腸腺癌を認め,周囲組織への浸潤および遠隔転移を認めない患者を,2:1 の割合で腹腔鏡下手術と開腹手術に割り付けた.主要評価項目は指標手術後 3 年の時点での局所再発率とした.副次的評価項目は無病生存率と全生存率とした.
解析対象は 1,044 例であった(腹腔鏡下手術群 699 例,開腹手術群 345 例).3 年の時点で,局所再発率は両群とも 5.0%であった(差:0 パーセントポイント,90%信頼区間 [CI] -2.6~2.6).無病生存率は腹腔鏡下手術群 74.8%,開腹手術群 70.8%であった(差:4.0 パーセントポイント,95% CI -1.9~9.9).全生存率は腹腔鏡下手術群 86.7%,開腹手術群 83.6%であった(差:3.1 パーセントポイント,95% CI -1.6~7.8).
直腸癌患者に対する腹腔鏡下手術は,開腹手術と同程度の局所再発率,無病生存率,全生存率に関連していた.(Ethicon Endo-Surgery Europe 社ほかから研究助成を受けた.COLOR II 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00297791)