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April 2, 2015 Vol. 372 No. 14

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全世界の心血管死亡率を規定する人口統計学的要因と疫学的要因
Demographic and Epidemiologic Drivers of Global Cardiovascular Mortality

G.A. Roth and Others

背景

全世界における心血管系の原因による死亡者数は,人口増加,高齢化,および疾患の疫学的変化の結果として増加しつつある.これら 3 つの原因が死亡の傾向に与える影響を解明することは,今後の医療制度計画と,心血管疾患減少に向けた取組みの進捗状況の評価において重要である.

方 法

世界の 21 地域,188 ヵ国のデータを含む「世界の疾病負担研究 2013」から,死亡率のデータを使用した.1990~2013 年の期間の心血管系の原因による死亡に変化をもたらす主要な要因を示すため,反実仮想に基づく 3 つのシナリオ(人口増加のみ,人口増加および高齢化,疾患の疫学的変化)を作成した.長期的な傾向,および国民所得の変化との相関を検討した.

結 果

1990~2013 年の期間に,全世界の年齢別死亡率は 39%低下したものの,心血管系の原因による死亡者数は 41%増加した.この増加は,高齢化により死亡者数が 55%増加したことと,人口が 25%増加したことに起因した.これらの要因の相対的寄与は地域によって異なり,中欧と西欧では唯一,心血管系の原因による年間死亡者数が減少した.1 人あたりの国内総生産の変化は,高中所得国でのみ,年齢別死亡率の変化と相関していたが,この相関は弱く,その他の地域では有意な相関は認められなかった.

結 論

1990~2013 年の期間に,全世界で,大半の地域で年齢別死亡率が低下したにもかかわらず,心血管系の原因による死亡者数は高齢化と人口増加により増加した.中欧と西欧でのみ,こうした人口統計学的影響が相殺されるほど,心血管の健康が増進した.(ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 372 : 1333 - 41. )