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June 11, 2015 Vol. 372 No. 24

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脳梗塞発症後 8 時間以内に行う血栓除去
Thrombectomy within 8 Hours after Symptom Onset in Ischemic Stroke

T.G. Jovin and Others

背景

脳梗塞の治療を目的とした血栓除去の安全性と有効性を評価することを目的として,人口ベースの脳梗塞再開通登録内で試験を行った.

方 法

スペインのカタルーニャ州の 4 施設で 2 年間,急性期脳梗塞発症後 8 時間以内に治療が可能であった 206 例を,薬物療法(適応患者にはアルテプラーゼ静脈内投与を含む)とステント型血栓回収デバイス Solitaire を用いた血管内治療を併用する群(血栓除去群)と,薬物療法を単独で行う群(対照群)に無作為に割り付けた.神経画像検査により,前方循環の動脈近位部に閉塞をきたしていることと,大きな梗塞が認められないことを確認した.対象は,アルテプラーゼ投与では再開通を得られなかったか,アルテプラーゼ投与禁忌であった.主要評価項目は,90 日の時点での全般的障害の重症度とし,修正 Rankin スケール(0 [症状なし]~6 [死亡])で評価した.予定していた最大症例数は 690 例であったが,他の同様の試験により血栓除去の優越性を示す結果が報告されて公平性が失われたため,登録を早期に中止した.

結 果

血栓除去群では,対照群と比較して修正 Rankin スケールのスコア全体で障害重症度が低下し(1 ポイント改善の補正オッズ比 1.7,95%信頼区間 [CI] 1.05~2.8),90 日の時点で,機能的自立(修正 Rankin スケールスコア 0~2)が認められた患者の割合が高かった(43.7% 対 28.2%,補正オッズ比 2.1,95% CI 1.1~4.0).90 日の時点で,症候性脳内出血率は,血栓除去群,対照群ともに 1.9%であり(P=1.00),死亡率は,それぞれ 18.4%と 15.5%であった(P=0.60).登録データによると,選択基準を満たした患者のうち,試験参加病院で試験としてではなく治療されたのは 8 例のみであった.

結 論

発症後 8 時間以内に治療が可能であった前方循環脳梗塞患者において,ステント型血栓回収デバイスを用いた血栓除去を行うことで,梗塞後障害の重症度は低下し,機能的自立が認められた患者の割合が上昇した.(Covidien 社から無制限の研究助成を受けている Fundació Ictus Malaltia Vascular ほかから研究助成を受けた.REVASCAT 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01692379)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 372 : 2296 - 306. )