院外心停止に対する早期心肺蘇生
Early Cardiopulmonary Resuscitation in Out-of-Hospital Cardiac Arrest
I. Hasselqvist-Ax and Others
スウェーデンでは,300 万人が心肺蘇生(CPR)の訓練を受けている.この訓練によって,居合わせた人による CPR の頻度が上昇するかどうか,また,院外心停止を起こした人の生存率が上昇するかどうかは,疑問視されている.
スウェーデンで,1990 年 1 月 1 日~2011 年 12 月 31 日に目撃された院外心停止 30,381 件を解析し,救急隊(EMS)到着前に CPR が実施されたかどうか,また,早期に実施された CPR と生存率との相関が認められるかどうかを検討した.
EMS 到着前に CPR が実施されたのは 15,512 症例(51.1%)で,EMS 到着前に CPR が実施されなかったのは 14,869 症例(48.9%)であった.30 日生存率は,EMS 到着前に CPR が実施された患者では 10.5%であったのに対し,EMS 到着前に CPR が実施されなかった患者では 4.0%であった(P<0.001).傾向スコア(年齢,性別,心停止が発生した場所,心停止の原因,初期調律,EMS の対応にかかった時間,倒れてから EMS を呼ぶまでの時間,イベント発生年を変数として含む)について補正後,EMS 到着前の CPR と 30 日生存率の上昇とのあいだに関連が認められた(オッズ比 2.15,95%信頼区間 1.88~2.45).心室細動を起こしていた患者における除細動までの時間を傾向スコアに組み入れた場合も,結果は同様であった.早期 CPR と生存率とのあいだの正の相関は,調査期間を通じて安定していた.倒れてから CPR 開始までの時間と 30 日生存率とのあいだにも,関連が認められた.
院外心停止後の患者に対し EMS 到着前に実施された CPR は, EMS 到着前に CPR が実施されなかった場合と比較して,30 日生存率が 2 倍以上高いことに関連した.(レールダル救急医療財団ほかから研究助成を受けた.)