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January 29, 2015 Vol. 372 No. 5

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真性多血症治療におけるルキソリチニブと標準療法の比較
Ruxolitinib versus Standard Therapy for the Treatment of Polycythemia Vera

A.M. Vannucchi and Others

背景

ヤヌスキナーゼ(JAK)1・2 の阻害薬であるルキソリチニブが,真性多血症患者に対して臨床的利益を有することが第 2 相試験で示された.われわれは,ハイドロキシウレアでは十分な効果が得られなかったか,忍容できない副作用を発現した真性多血症患者を対象に,ルキソリチニブと標準療法とで有効性と安全性を比較評価する目的で第 3 相非盲検試験を行った.

方 法

脾腫を有し,瀉血を必要とする患者を,ルキソリチニブ投与を受ける群(110 例)と標準療法を受ける群(112 例)に 1 対 1 の割合で無作為に割り付けた.主要評価項目は,32 週までのヘマトクリット値のコントロールと,32 週の時点での画像評価による脾容積の 35%以上の減少の両方とした.

結 果

主要評価項目が達成されたのは,ルキソリチニブ群 21%に対し,標準療法群 1%であった(P<0.001).ヘマトクリット値のコントロールが得られたのは,ルキソリチニブ群 60%に対し,標準療法群 20%であった.脾容積の 35%以上の減少が達成されたのは,ルキソリチニブ群 38%に対し,標準療法群 1%であった.血液学的完全寛解が得られたのは,ルキソリチニブ群 24%に対し,標準療法群 9%であった(P=0.003).32 週の時点で症状合計スコアに 50%以上の低下が認められたのは,ルキソリチニブ群 49%に対し,標準療法群 5%であった.ルキソリチニブ群では,グレード 3 または 4 の貧血の発現率は 2%,グレード 3 または 4 の血小板減少症の発現率は 5%であった.標準療法群では,グレード 3 または 4 の貧血の発現率は 0%,グレード 3 または 4 の血小板減少症の発現率は 4%であった.帯状疱疹ウイルス感染が報告された割合は,ルキソリチニブ群 6%,標準療法群 0%であった(全症例でグレードは 1 または 2 であった).血栓塞栓イベントはルキソリチニブ群では 1 例に,標準療法群では 6 例に発現した.

結 論

ハイドロキシウレアでは十分な効果が得られなかったか,忍容できない副作用を発現した真性多血症患者において,ルキソリチニブは,ヘマトクリット値のコントロール,脾容積の減少,真性多血症に関連する症状の改善に関して,標準療法よりも優れていた.(Incyte 社ほかから研究助成を受けた.RESPONSE 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01243944)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 372 : 426 - 35. )