The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

January 29, 2015 Vol. 372 No. 5

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

閉経前乳癌に対する卵巣機能抑制を用いた補助療法
Adjuvant Ovarian Suppression in Premenopausal Breast Cancer

P.A. Francis and Others

背景

卵巣のエストロゲン産生を抑制することで,閉経前女性のホルモン受容体陽性早期乳癌の再発は減少するが,タモキシフェンと併用した場合の有用性は明らかにされていない.

方 法

閉経前女性 3,066 例を化学療法歴の有無により層別化し,タモキシフェン群,タモキシフェン+卵巣機能抑制群,エキセメスタン+卵巣機能抑制群のいずれかに無作為に割り付け,5 年間治療を行った.主要解析では,タモキシフェンと卵巣機能抑制の併用により,タモキシフェン単独と比較して無病生存率が改善するという仮説を検証した.主要解析では,患者の 46.7%には化学療法歴がなく,53.3%には化学療法歴があったが閉経前の状態であった.

結 果

追跡期間中央値 67 ヵ月の時点で,5 年推定無病生存率は,タモキシフェン+卵巣機能抑制群 86.6%,タモキシフェン群 84.7%であった(乳癌再発,二次浸潤癌,または死亡のハザード比 0.83,95%信頼区間 [CI] 0.66~1.04,P=0.10).予後因子を組み入れた多変量解析では,治療効果はタモキシフェン+卵巣機能抑制のほうが,タモキシフェン単独よりも大きいことが示唆された(ハザード比 0.78,95% CI 0.62~0.98).再発のほとんどは化学療法歴のある患者でみられたが,それらの患者で 5 年の時点で乳癌がみられなかった割合は,タモキシフェン+卵巣機能抑制群で 82.5%,タモキシフェン群で 78.0%であった(再発のハザード比 0.78,95% CI 0.60~1.02).エキセメスタン+卵巣機能抑制群では,5 年の時点で乳癌がみられなかった患者の割合は 85.7%であった(タモキシフェン群と比較した再発のハザード比 0.65,95% CI 0.49~0.87).

結 論

タモキシフェンに卵巣機能抑制を併用しても,試験対象集団全体では有意な利益は得られなかった.しかし,再発のリスクが十分に高く補助化学療法を必要とする女性や,閉経前の状態を維持していた女性においては,卵巣機能抑制の併用によって,疾患の転帰が改善した.エキセメスタンと卵巣機能抑制を併用した場合,さらなる改善が認められた.(Pfizer 社ほかから研究助成を受けた.SOFT 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00066690)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 372 : 436 - 46. )