September 10, 2015 Vol. 373 No. 11
リソソーム酸リパーゼ欠損症に対するセベリパーゼαの第 3 相試験
A Phase 3 Trial of Sebelipase Alfa in Lysosomal Acid Lipase Deficiency
B.K. Burton and Others
リソソーム酸リパーゼは,取り込まれた脂質粒子を分解し脂質代謝を調節する必須の脂質代謝酵素である.われわれは,肝硬変と重度の脂質異常症の原因として十分認識されていないリソソーム酸リパーゼ欠損症の小児および成人患者を対象として,酵素補充療法の第 3 相試験を行った.
患者 66 例を対象とした多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験において,セベリパーゼα(1 mg/kg 体重を隔週で静脈内投与)による酵素補充療法の安全性と有効性を評価した.プラセボ対照群をおいた二重盲検下での投与を 20 週間行った後,全例に非盲検下で投与した.主要エンドポイントは,アラニンアミノトランスフェラーゼ値の正常化とした.副次的エンドポイントは,疾患に関連する他の異常値に対する有効性評価,安全性,副作用プロファイルなどとした.
ベースラインでの重要な疾患負荷として,66 例中 38 例(58%)できわめて高い低比重リポ蛋白コレステロール値(190 mg/dL 以上)が認められ,生検を受けた 32 例中 10 例(31%)で肝硬変が認められた.無作為化された 66 例のうち,65 例が試験の二重盲検期を完了し,続けて非盲検下で投与を受けた.20 週の時点で,アラニンアミノトランスフェラーゼ値の正常化が認められたのは,セベリパーゼα群 36 例中 11 例(31%),プラセボ群 30 例中 2 例(7%)であり(P=0.03),ベースラインからの平均変化量は,それぞれ -58 U/L と -7 U/L であった(P<0.001).事前に規定した有効性に関する主な副次的エンドポイントについて,脂質値の改善と肝脂肪量の減少が認められた(トリグリセリド値の P=0.04 を除き,すべての比較で P<0.001).有害事象が認められた患者は両群で同程度であり,その大部分は軽度であり,試験担当医師により治療とは無関係と判定された.
リソソーム酸リパーゼ欠損症の小児および成人患者において,セベリパーゼαの投与により疾患に関連する複数の肝異常と脂質異常が軽減された.(Synageva BioPharma 社ほかから研究助成を受けた.ARISE 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01757184)