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October 1, 2015 Vol. 373 No. 14

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シャーガス病慢性期の心筋症に対するベンズニダゾールの無作為化試験
Randomized Trial of Benznidazole for Chronic Chagas’ Cardiomyopathy

C.A. Morillo and Others

背景

シャーガス病により心筋症を発症した患者に対して,抗トリパノソーマ薬治療が果たす役割については明らかにされていない.

方 法

多施設共同前向き無作為化試験において,シャーガス心筋症患者 2,854 例にベンズニダゾール(benznidazole)またはプラセボを最長 80 日間投与し,平均 5.4 年間追跡した.生存期間(time-to-event)解析における主要転帰は,死亡,心停止からの蘇生,持続性心室頻拍,ペースメーカーまたは植込み型除細動器の挿入,心臓移植,心不全の新規発症,脳卒中,その他の血栓塞栓イベントから成る複合転帰のうち,いずれかの初回発生とした.

結 果

主要転帰は,ベンズニダゾール群の 394 例(27.5%)とプラセボ群の 414 例(29.1%)で発生した(ハザード比 0.93,95%信頼区間 [CI] 0.81~1.07,P=0.31).ベースラインで,1,896 例から得られた血液検体でポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検査を行ったところ,60.5%が Trypanosoma cruzi 陽性であった.PCR 結果が陰性化した患者の割合(PCR 陰性化率)は,投与終了の時点でベンズニダゾール群 66.2%,プラセボ群 33.5%であり,2 年の時点ではそれぞれ 55.4%,35.3%,5 年以降では 46.7%,33.1%であった(すべての比較で P<0.001).PCR 陰性化に対する治療の効果は地域によって異なり,ブラジルにおける PCR 陰性化のオッズ比は,2 年の時点で 3.03(95% CI 2.12~4.34),5 年以降で 1.87(95% CI 1.33~2.63)であり,コロンビアとエルサルバドルでは,2 年の時点で 1.33(95% CI 0.90~1.98),5 年以降で 0.96(95% CI 0.63~1.45)であり,アルゼンチンとボリビアでは,2 年の時点で 2.63(95% CI 1.89~3.66),5 年以降で 2.79(95% CI 1.99~3.92)であった(交互作用の P<0.001).しかし,PCR 陰性化率は,臨床転帰への効果とは一致しなかった(交互作用の P=0.16).

結 論

シャーガス病により心筋症を発症した患者において,ベンズニダゾールを用いた抗トリパノソーマ薬治療を行うことで血清中の寄生虫は有意に減少したが,5 年の追跡期間における心機能の臨床的悪化は有意には減少しなかった.(カナダ公衆衛生研究所ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00123916,Current Controlled Trials 登録番号 ISRCTN13967269)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 373 : 1295 - 306. )