October 1, 2015 Vol. 373 No. 14
小児および若年成人における心血管代謝系リスクと肥満の重症度
Cardiometabolic Risks and Severity of Obesity in Children and Young Adults
A.C. Skinner and Others
小児・若年成人における重度肥満の有病率がこの 10 年で上昇している.過体重または肥満の小児・若年成人における心血管代謝系危険因子の保有率は比較的低いものの,肥満の重症度が高いほど,リスクがより高まる可能性がある.
1999~2012 年に全米健康栄養調査(NHANES)の対象となった 3~19 歳の過体重または肥満の小児・若年成人のデータを横断的に解析し,複数の心血管代謝系危険因子の保有率を肥満の重症度別に評価した.体重の状態を身長・体重の測定値に基づいて分類した.総コレステロール,高比重リポ蛋白(HDL)コレステロール,低比重リポ蛋白コレステロール,トリグリセリド,血圧,糖化ヘモグロビン,空腹時血糖の異常値には標準的な定義を用い,小児・若年成人における異常値の保有率を体重の状態別に報告する.
体格指数(BMI)が 85 パーセンタイル以上(米国疾病管理予防センター [CDC] の成長曲線に基づく)の小児・若年成人 8,579 例のうち,過体重は 46.9%,クラス I の肥満は 36.4%,クラス II の肥満は 11.9%,クラス III の肥満は 4.8%であった.心血管代謝系変数の平均値は,すべてではないが一部は男女ともに肥満の重症度が高いほど高く,また数値は男性のほうが女性よりも高かった.HDL コレステロールは,肥満の重症度が高いほど低かった.年齢,人種・民族,性別について補正した多変数モデルでは,肥満の重症度が高いほど,HDL コレステロール低値,収縮期・拡張期血圧高値,トリグリセリド高値,糖化ヘモグロビン高値のリスクが高くなることが示された.
小児・若年成人における重度の肥満は,とくに男児と若年成人男性において,心血管代謝系危険因子の保有率が高いことに関連した.