October 29, 2015 Vol. 373 No. 18
2 型糖尿病患者における超過死亡
Excess Mortality among Persons with Type 2 Diabetes
M. Tancredi and Others
血糖コントロールと腎合併症の状態が異なる 2 型糖尿病患者における,全死因死亡,心血管系の原因による死亡の超過リスクは明らかにされていない.われわれは 2 型糖尿病患者において,血糖コントロールと腎合併症とによるリスクを評価することを目的として,登録に基づく調査を行った.
スウェーデン全国糖尿病登録に 1998 年 1 月 1 日以降に登録された 2 型糖尿病患者を対象とした.患者 1 例につき対照 5 例を一般集団から無作為に選択し,年齢,性別,県をマッチさせた.対象全例を,スウェーデン死因別死亡登録を用いて 2011 年 12 月 31 日まで追跡した.
平均追跡期間は糖尿病患者群 4.6 年,対照群 4.8 年であった.全体で,糖尿病患者 435,369 例中 77,117 例(17.7%)が死亡したのに対し,対照 2,117,483 例中 306,097 例(14.5%)が死亡した(補正ハザード比 1.15,95%信頼区間 [CI] 1.14~1.16).心血管系死亡率は,糖尿病患者群 7.9%に対し,対照群 6.1%であった(補正ハザード比 1.14,95% CI 1.13~1.15).全死因死亡および心血管系死亡の超過リスクは,年齢がより低いこと,血糖コントロールがより不良であること,腎合併症がより重症であることに伴い増加した.対照群と比較して,糖化ヘモグロビン値 6.9%以下(非糖化ヘモグロビン 52 mmol/mole 以下)の糖尿病患者の全死因死亡のハザード比は,55 歳未満の患者群で 1.92(95% CI 1.75~2.11),75 歳以上の患者群で 0.95(95% CI 0.94~0.96)であった.正常アルブミン尿の患者において,対照群に対する死亡のハザード比は,糖化ヘモグロビン値 6.9%以下の 55 歳未満の患者群で 1.60(95% CI 1.40~1.82)であったが,75 歳以上の患者群では 0.76(95% CI 0.75~0.78)であり,65~74 歳の患者群でも死亡リスクは有意に低かった(ハザード比 0.87,95% CI 0.84~0.91).
2 型糖尿病患者における死亡率は,一般集団と比較して,大規模な患者群としては相当な超過リスクがあるが,年齢,血糖コントロール,腎合併症別にみると死亡リスクは低くなり,多様であった.(スウェーデン政府ほかから研究助成を受けた.)