December 3, 2015 Vol. 373 No. 23
心肺蘇生中の継続的な胸骨圧迫と中断を伴う胸骨圧迫の比較試験
Trial of Continuous or Interrupted Chest Compressions during CPR
G. Nichol and Others
院外心停止患者に対する心肺蘇生(CPR)中に,人工呼吸を行うために用手胸骨圧迫を中断することで血流が減少し,生存率が低下することもある.われわれは,陽圧換気を行い胸骨圧迫を継続した場合の転帰が,胸骨圧迫と換気の比が 30:2 で,換気のために胸骨圧迫を中断した場合の転帰と異なるかどうかを評価した.
このクラスター無作為化クロスオーバー試験には,114 の救急医療(EMS)機関が参加した.非外傷性心停止の成人患者に対して,EMS 提供者が継続的な胸骨圧迫(介入群),または中断を伴う胸骨圧迫(対照群)を行った.主要評価項目は生存退院率とした.副次的評価項目は,修正 Rankin スケールスコア(0~6 の尺度で,3 以下は良好な神経機能を示す)などとした.遵守状況を評価するために,CPR 過程を測定した.
一次解析の対象となったのは 23,711 例で,内訳は介入群 12,653 例,対照群 11,058 例であった.生存状況のデータが得られた介入群の 12,613 例のうち 1,129 例(9.0%)と,対照群の 11,035 例のうち 1,072 例(9.7%)が生存退院した(差 -0.7 パーセントポイント,95%信頼区間 [CI] -1.5~0.1,P=0.07).介入群の 7.0%と対照群の 7.7%が,神経機能が良好な状態で生存退院した(差 -0.6 パーセントポイント,95% CI -1.4~0.1,P=0.09).退院後の生存期間は,介入群のほうが対照群よりも有意に短かった(平均差 -0.2 日,95% CI -0.3~-0.1,P=0.004).
院外心停止患者において,EMS 提供者による CPR 中に胸骨圧迫が継続的に行われても,中断を伴って行われた場合と比較して,有意に高い生存率および良好な神経機能が得られることはなかった.(米国国立心臓・肺・血液研究所ほかから研究助成を受けた.ROC CCC 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01372748)