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August 6, 2015 Vol. 373 No. 6

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リンパ節転移陰性口腔癌に対する待期的頸部郭清と治療的頸部郭清との比較
Elective versus Therapeutic Neck Dissection in Node-Negative Oral Cancer

A.K. D’Cruz and Others

背景

早期口腔癌患者には,原発巣切除時に待期的頸部郭清を行うべきか,リンパ節再発後に治療的頸部郭清を行うべきか,議論が続いている.

方 法

ステージ T1 または T2 の片側口腔扁平上皮癌患者を対象とした前向き無作為化対照試験において,待期的リンパ節郭清(原発巣切除の際に同側の頸部郭清を施行)と,治療的リンパ節郭清(経過観察を行い,リンパ節再発をきたした場合に頸部郭清を施行)とで,生存に及ぼす影響を比較評価した.主要評価項目は全生存とし,副次的評価項目は無病生存とした.

結 果

2004~14 年に 596 例を登録した.データ安全性モニタリング委員会で事前に規定したとおり,この報告では最初の 500 例(待期的手術群 245 例,治療的手術群 255 例)の結果を要約する.追跡期間中央値は 39 ヵ月であった.待期的手術群では再発が 81 例,死亡が 50 例認められ,治療的手術群では再発が 146 例,死亡が 79 例認められた.3 年の時点で,全生存率は治療的手術群 67.5%(95%信頼区間 [CI] 61.0~73.9)に対し,待期的手術群 80.0%(95% CI 74.1~85.8)であり,待期的手術群で改善が認められ,待期的手術群の死亡のハザード比は 0.64(95% CI 0.45~0.92)であった(log-rank 検定で P=0.01).その時点で,無病生存率も待期的手術群の患者のほうが治療的手術群の患者よりも高かった(69.5% 対 45.9%,P<0.001).大半のサブグループで待期的手術に優越性が認められ,有意な相互作用は認められなかった.有害事象の発現率は待期的手術群で 6.6%,治療的手術群で 3.6%であった.

結 論

早期口腔扁平上皮癌患者に待期的頸部郭清を行った場合,治療的頸部郭清を行った場合と比較して,全生存率と無病生存率が高くなった.( タタ記念センターから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00193765)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 373 : 521 - 9. )