中等度リスク患者における外科的大動脈弁置換術と経カテーテル大動脈弁置換術との比較
Surgical or Transcatheter Aortic-Valve Replacement in Intermediate-Risk Patients
M.J. Reardon and Others
経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)は,重症大動脈弁狭窄症患者で手術リスクが高い例に対する外科的置換術の代替法として認められているが,手術リスクが中等度の例では TAVR と外科的置換術とで転帰の十分な比較はなされていない.
中等度リスクの重症症候性大動脈弁狭窄症患者を対象とした無作為化試験で,TAVR(自己拡張型人工弁を使用して実施)と外科的大動脈弁置換術とで臨床転帰を比較した.主要エンドポイントは,予定された大動脈弁置換術を施行した患者における 24 ヵ月の時点での全死因死亡または障害を伴う脳卒中の複合とした.ベイズ解析法(マージン 0.07)を用いて,外科的置換術に対する TAVR の非劣性を評価した.
87 施設で 1,746 例を無作為化した.うち 1,660 例が TAVR または外科的置換術を受けた.患者の平均(±SD)年齢は 79.8±6.2 歳であり,全例で手術リスクが中等度であった(米国胸部外科学会死亡リスク予測値 4.5±1.6%).24 ヵ月の時点での主要エンドポイントの推定発生率は,TAVR 群 12.6%,外科的置換術群 14.0%であった(差の 95%信用区間 [ベイズ解析]-5.2~2.3%,非劣性の事後確率>0.999).外科的置換術は急性腎障害の発生率,心房細動の発生率,輸血を必要とした割合がより高いことに関連したのに対し,TAVR では残存大動脈弁閉鎖不全の発生率とペースメーカー植込みを必要とした割合がより高かった.TAVR では,外科的置換術よりも平均圧較差が小さく,大動脈弁口面積が大きかった.24 ヵ月の時点での構造的弁劣化は,いずれの群でも発生しなかった.
TAVR は手術リスクが中等度の重症大動脈弁狭窄症患者における手術の代替法として非劣性であり,有害事象の発現傾向は手技により異なった.(Medtronic 社から研究助成を受けた.SURTAVI 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01586910)