November 16, 2017 Vol. 377 No. 20
III 期非小細胞肺癌に対する化学放射線療法後のデュルバルマブ
Durvalumab after Chemoradiotherapy in Stage III Non–Small-Cell Lung Cancer
S.J. Antonia and Others
局所進行切除不能非小細胞肺癌(NSCLC)の患者の大多数は,確固とした化学放射線療法(化学療法と同時放射線療法)を行っても病勢が進行する.この第 3 相試験では,プラチナベースの化学放射線療法を 2 サイクル以上施行後に病勢進行を認めなかった III 期 NSCLC 患者を対象に,地固め療法としての抗プログラム死リガンド 1 抗体デュルバルマブ(durvalumab)をプラセボと比較した.
患者を,デュルバルマブ群(10 mg/kg を静脈内投与)とプラセボ群に 2:1 の割合で無作為に割り付け,2 週ごとに最長 12 ヵ月間投与した.投与は患者が化学放射線療法を受けた 1~42 日後に開始した.無増悪生存(盲検下での独立した中央判定による)と全生存(中間解析では計画されていなかった)を複合主要評価項目とした.12 ヵ月時点と 18 ヵ月時点の無増悪生存率,客観的奏効率,奏効期間,死亡または遠隔転移までの期間,安全性などを副次的評価項目とした.
無作為化した 713 例のうち 709 例が地固め療法を受けた(デュルバルマブ群 473 例,プラセボ群 236 例).無作為化からの無増悪生存期間中央値は,デュルバルマブ群 16.8 ヵ月(95%信頼区間 [CI] 13.0~18.1)に対し,プラセボ群 5.6 ヵ月(95% CI 4.6~7.8)であった(病勢進行または死亡の層別化ハザード比 0.52,95% CI 0.42~0.65,P<0.001).12 ヵ月無増悪生存率は,デュルバルマブ群 55.9%に対しプラセボ群 35.3%,18 ヵ月無増悪生存率は,44.2%に対し 27.0%であった.デュルバルマブ群のほうがプラセボ群よりも奏効率が高く(28.4% 対 16.0%,P<0.001),奏効期間中央値が長かった(18 ヵ月時点で奏効が持続している患者の割合 72.8% 対 46.8%).死亡または遠隔転移までの期間の中央値は,デュルバルマブ群のほうがプラセボ群よりも長かった(23.2 ヵ月 対 14.6 ヵ月,P<0.001).グレード 3 または 4 の有害事象はデュルバルマブ投与例の 29.9%とプラセボ投与例の 26.1%に発現し,もっとも頻度が高かったグレード 3 または 4 の有害事象は肺炎であった(それぞれ 4.4%と 3.8%).デュルバルマブ群の 15.4%とプラセボ群の 9.8%が有害事象により投与を中止した.
無増悪生存期間はデュルバルマブ群のほうがプラセボ群よりも有意に長かった.副次的評価項目についてもデュルバルマブ群のほうが良好であり,安全性は両群で同等であった.(AstraZeneca 社から研究助成を受けた.PACIFIC 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02125461)