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November 16, 2017 Vol. 377 No. 20

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進行期の常染色体優性多発性囊胞腎におけるトルバプタン
Tolvaptan in Later-Stage Autosomal Dominant Polycystic Kidney Disease

V.E. Torres and Others

背景

早期の常染色体優性多発性囊胞腎(ADPKD;推定クレアチニンクリアランス 60 mL/分以上)の患者を対象とした先行試験では,バソプレシン V2 受容体拮抗薬トルバプタンにより,総腎容積の増大速度と推定糸球体濾過量(GFR)の低下速度は抑制されたが,アミノトランスフェラーゼとビリルビンの値がより上昇した.進行した ADPKD 患者におけるトルバプタンの有効性と安全性は不明である.

方 法

第 3 相無作為化治療中止多施設共同プラセボ対照二重盲検試験を行った.無作為化前の 8 週間にプラセボとトルバプタンを順次投与する導入期間を設定し,各患者が用量制限副作用なくトルバプタンの投与が可能かどうかを評価し,18~55 歳で推定 GFR が 25~65 mL/分/1.73 m2 または 56~65 歳で推定 GFR が 25~44 mL/分/1.73 m2 の ADPKD 患者 1,370 例を,12 ヵ月間トルバプタンを投与する群とプラセボを投与する群に 1:1 の割合で無作為に割り付けた.正確な試験参加期間で補正(1 年に内挿)した,推定 GFR のベースラインから追跡期間までの変化を主要評価項目とした.安全性評価は月 1 回行った.

結 果

推定 GFR のベースラインからの変化は,トルバプタン群で -2.34 mL/分/1.73 m2(95%信頼区間 [CI] -2.81~-1.87)であったのに対し,プラセボ群では -3.61 mL/分/1.73 m2(95% CI -4.08~-3.14)であった(差 1.27 mL/分/1.73 m2,95% CI 0.86~1.68,P<0.001).アラニンアミノトランスフェラーゼ上昇(正常値上限の 3 倍超)は,トルバプタン投与例 681 例のうち 38 例(5.6%)とプラセボ投与例 685 例のうち 8 例(1.2%)で認められた.アミノトランスフェラーゼ上昇は,トルバプタン中止後に回復した.正常値上限の 2 倍を超えるビリルビン上昇は認められなかった.

結 論

進行した ADPKD 患者では,トルバプタンにより,プラセボと比較して 1 年間の推定 GFR の低下速度が抑制された.(Otsuka Pharmaceuticals 社,Otsuka Pharmaceutical Development and Commercialization 社から研究助成を受けた.REPRISE 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02160145)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2017; 377 : 1930 - 42. )