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December 21, 2017 Vol. 377 No. 25

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早産児における臍帯の遅延結紮と早期結紮との比較
Delayed versus Immediate Cord Clamping in Preterm Infants

W. Tarnow-Mordi and Others

背景

早産児における臍帯結紮の望ましいタイミングは明らかにされていない.

方 法

在胎 30 週未満での分娩が予想される女性の胎児を,臍帯早期結紮群(分娩後 10 秒以内)と臍帯遅延結紮群(分娩後 60 秒以降)に無作為に割り付けた.最終月経から 36 週までの死亡または重大なイベント(出生後の超音波検査で認められた重度の脳損傷,重度の未熟児網膜症,壊死性腸炎,遅発性敗血症と定義)を複合主要評価項目とした.解析は intention-to-treat の原則に基づいて行い,多胎出生を考慮に入れた.

結 果

無作為化した胎児 1,634 例中 1,566 例が在胎 30 週未満で出生した.このうち 782 例を臍帯早期結紮群に,784 例を臍帯遅延結紮群に割り付けた.分娩から臍帯結紮までの時間の中央値は早期結紮群が 5 秒,遅延結紮群が 60 秒であった.主要評価項目の全データが得られたのは 1,497 例(95.6%)であった.主要評価項目の発生率に,遅延結紮に割り付けられた児(37.0%)と早期結紮に割り付けられた児(37.2%)とで有意差は認められなかった(相対リスク 1.00,95%信頼区間 0.88~1.13,P=0.96).死亡率は遅延結紮群 6.4%,早期結紮群 9.0%であった(未補正の解析で P=0.03,副次的評価項目の多重比較の事後補正後は P=0.39).慢性肺疾患の発生率やその他の重大なイベントの発生率に群間で有意差は認められなかった.

結 論

早産児において,臍帯遅延結紮により,早期結紮と比較して最終月経から 36 週の時点での死亡または重大なイベントから成る複合評価項目の発生率が低くなることはなかった.(オーストラリア国立保健医療研究審議会 [NHMRC],NHMRC 臨床試験センターから研究助成を受けた.APTS 試験:Australian and New Zealand Clinical Trials Registry 番号 ACTRN12610000633088)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2017; 377 : 2445 - 55. )