The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

July 6, 2017 Vol. 377 No. 1

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

経口ゴナドトロピン放出ホルモン拮抗薬エラゴリックスによる子宮内膜症性疼痛の治療
Treatment of Endometriosis-Associated Pain with Elagolix, an Oral GnRH Antagonist

H.S. Taylor and Others

背景

子宮内膜症は,月経困難症と骨盤痛を引き起こす慢性のエストロゲン依存性疾患である.先行試験では,経口の非ペプチド性ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)拮抗薬エラゴリックス(elagolix)により,エストロゲンが部分的またはほぼ完全に抑制された.

方 法

外科的に子宮内膜症と診断され,中等度または重度の子宮内膜症性疼痛を有する女性を対象に,エラゴリックス 150 mg 1 日 1 回(低用量群)と 200 mg 1 日 2 回(高用量群)の 2 用量の効果をプラセボと比較評価するため,デザインの類似した 2 件の 6 ヵ月間の二重盲検無作為化第 3 相試験(Elaris EM-I,Elaris EM-II)を行った.主要有効性エンドポイントは,3 ヵ月の時点での,月経困難症に対する臨床効果が認められた女性の割合と,月経時以外の骨盤痛に対する臨床効果が認められた女性の割合の 2 項目とした.エンドポイントはそれぞれ,疼痛スコアの臨床的に意味のある低下,鎮痛薬のレスキュー使用の減少または安定とし,電子日誌の記録に基づき評価した.

結 果

Elaris EM-I では 872 例,Elaris EM-II では 817 例が無作為化され,それぞれ 653 例(74.9%)と 632 例(77.4%)が介入を完了した.エラゴリックス投与例では,プラセボ投与例よりも,3 ヵ月の時点で主要エンドポイントとした 2 項目の臨床効果基準を満たす割合が有意に高かった.月経困難症に対する臨床効果が認められた女性の割合は,Elaris EM-I では,エラゴリックス低用量群 46.4%,高用量群 75.8%に対し,プラセボ群 19.6%であり,Elaris EM-II では,43.4%,72.4%に対し,22.7%であった(すべての比較の P<0.001).月経時以外の骨盤痛に対する臨床効果が認められた女性の割合は,Elaris EM-I では,低用量群 50.4%,高用量群 54.5%に対し,プラセボ群 36.5%であり(すべての比較の P<0.001),Elaris EM-II では,49.8%,57.8%に対し,36.5%であった(それぞれ P=0.003,P<0.001).月経困難症と月経時以外の骨盤痛に対する効果は 6 ヵ月の時点でも持続していた.エラゴリックス投与例は,プラセボ投与例よりも,ホットフラッシュ(多くは軽度または中等度)の発現率が高く,血清脂質値が高く,骨密度のベースラインからの低下が大きかったが,有害な子宮内膜の所見は認められなかった.

結 論

子宮内膜症性疼痛を有する女性において,エラゴリックスの高用量と低用量はいずれも,6 ヵ月の期間中の月経困難症と月経時以外の骨盤痛の改善に有効であった.いずれの用量もエストロゲン低下による有害事象に関連していた.(AbbVie 社から研究助成を受けた.Elaris EM-I 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01620528;Elaris EM-II 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01931670)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2017; 377 : 28 - 40. )