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August 31, 2017 Vol. 377 No. 9

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インヒビター保有血友病 A 患者に対するエミシズマブの予防投与
Emicizumab Prophylaxis in Hemophilia A with Inhibitors

J. Oldenburg and Others

背景

エミシズマブ(emicizumab [ACE910])は,活性型第 IX 因子と第 X 因子を橋渡しして,血友病 A 患者で欠乏している活性型第 VIII 因子の機能を回復する.第 3 相多施設共同試験で,第 VIII 因子インヒビターを保有する血友病 A 患者に対するエミシズマブの週 1 回予防的皮下投与を評価した.

方 法

12 歳以上の患者を登録した.出血時にバイパス止血製剤による治療を受けたことがある患者を,エミシズマブの予防投与を行う群(A 群)と行わない群(B 群)に,2:1 の割合で無作為に割り付けた.A 群と B 群における出血率の差を主要エンドポイントとした.バイパス止血製剤の予防投与を受けたことがある患者を C 群とし,エミシズマブの予防投与を行った.

結 果

インヒビター保有血友病 A 男性 109 例を登録した.年間出血率はエミシズマブの予防投与を行う群(A 群,35 例)では 2.9 件(95%信頼区間 [CI] 1.7~5.0)であったのに対し,行わない群(B 群,18 例)では 23.3 件(95% CI 12.3~43.9)であり,エミシズマブ予防投与の優越性を示す 87%の有意差が認められた(P<0.001).出血イベントが発生しなかったのは A 群では 22 例(63%)であったのに対し,B 群では 1 例(6%)であった.C 群で,過去に非介入試験に参加していた 24 例では,エミシズマブの予防投与により,それまでのバイパス止血製剤の予防投与と比較して,出血率が 79%有意に低下した(P<0.001).全体で,エミシズマブの予防投与を行った 103 例で有害事象は 198 件報告され,もっとも頻度が高かったのは注射部位反応であった(患者の 15%).破綻出血に対して活性型プロトロンビン複合体濃縮製剤を複数回静注した患者で,血栓性微小血管障害と血栓症がそれぞれ 2 例で報告された(主要解析).抗薬物抗体は検出されなかった.

結 論

インヒビター保有血友病 A 患者において,エミシズマブの予防投与は,予防投与を行わない場合と比較して出血イベントの発生率が有意に低いことに関連した.(F. Hoffmann–La Roche 社,Chugai Pharmaceutical 社から研究助成を受けた.HAVEN 1 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02622321)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2017; 377 : 809 - 18. )