April 19, 2018 Vol. 378 No. 16
診察室および自由行動下での血圧測定値と死亡との関連
Relationship between Clinic and Ambulatory Blood-Pressure Measurements and Mortality
J.R. Banegas and Others
自由行動下血圧が予後に及ぼす影響に関するエビデンスは,主に人口ベースの研究と数件の比較的小規模な臨床研究から得られたものである.この研究では,プライマリケア患者を対象とした大規模コホートにおいて,診察室で測定した血圧(診察室血圧)・24 時間自由行動下血圧と,全死因死亡・心血管死亡との関連を検討した.
スペインで 2004~14 年に登録された成人 63,910 例を含む登録ベースの多施設共同全国コホートのデータを解析した.診察室血圧と 24 時間自由行動下血圧のデータを,次の 4 つに分類して検討した:持続性高血圧(診察室血圧,24 時間自由行動下血圧ともに高値),「白衣」高血圧(診察室血圧は高値,24 時間自由行動下血圧は正常),仮面高血圧(診察室血圧は正常,24 時間自由行動下血圧は高値),正常血圧(診察室血圧,24 時間自由行動下血圧ともに正常).解析は,診察室血圧・24 時間自由行動下血圧と交絡因子で補正した Cox 回帰モデルを用いて行った.
追跡期間中央値 4.7 年のあいだに,3,808 例がなんらかの原因で死亡し,うち 1,295 例が心血管系の原因により死亡した.24 時間血圧値と診察室血圧値の両方を含めたモデルにおいて,24 時間収縮期血圧と全死因死亡との関連(診察室血圧で補正後の血圧 1 SD 上昇あたりのハザード比 1.58,95%信頼区間 [CI] 1.56~1.60)は,診察室収縮期血圧と全死因死亡との関連(24 時間血圧で補正後のハザード比 1.02,95% CI 1.00~1.04)よりも強かった.夜間自由行動下収縮期血圧 1 SD 上昇あたりの全死因死亡のハザード比は 1.55(診察室血圧と日中血圧で補正後,95% CI 1.53~1.57),日中自由行動下収縮期血圧では 1.54(診察室血圧と夜間血圧で補正後,95% CI 1.52~1.56)であった.これらの関係は,年齢,性別,および肥満,糖尿病,心血管系疾患,降圧薬使用の状況のサブグループで一貫していた.全死因死亡との関連は,仮面高血圧(ハザード比 2.83,95% CI 2.12~3.79)が,持続性高血圧(ハザード比 1.80,95% CI 1.41~2.31)や白衣高血圧(ハザード比 1.79,95% CI 1.38~2.32)よりも強かった.心血管死亡の結果は,全死因死亡の結果と同様であった.
自由行動下血圧値は,診察室血圧値と比較して,全死因死亡と心血管死亡の強力な予測因子であった.白衣高血圧は良性ではなく,仮面高血圧は持続性高血圧よりも高い死亡リスクと関連していた.(スペイン高血圧学会ほかから研究助成を受けた.)