The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

February 8, 2018 Vol. 378 No. 6

退役軍人の心的外傷後ストレス障害に対するプラゾシンの試験
Trial of Prazosin for Post-Traumatic Stress Disorder in Military Veterans

M.A. Raskind and Others

背景

これまでの無作為化試験で,α1 アドレナリン受容体遮断薬プラゾシンは,退役軍人の心的外傷後ストレス障害(PTSD)に関連する悪夢の軽減に有効であった.

方 法

退役軍人省が運営する 13 の医療施設で,慢性 PTSD を有し,頻繁に悪夢をみるという退役軍人を募集した.被験者を,26 週間プラゾシンを投与する群とプラセボを投与する群に無作為に割り付けた.プラゾシンまたはプラセボの投与は分割して行い,5 週間で,1 日最大用量の男性 20 mg,女性 12 mg まで漸増した.10 週間の投与後,被験者は,二重盲検法でプラゾシンまたはプラセボの投与をさらに 16 週間継続した.次の 3 つを主要評価項目とした:PTSD 臨床診断面接尺度(CAPS)の項目 B2(「反復的で苦痛な夢」;0~8 点で,スコアが高いほど夢の頻度が高く苦痛が大きいことを示す)のスコアのベースラインから 10 週までの変化量,ピッツバーグ睡眠質指数(PSQI;0~21 点で,スコアが高いほど睡眠の質が低いことを示す)のスコアのベースラインから 10 週までの変化量,10 週の時点における変化の臨床全般印象(CGIC)スコア(1~7 点で,スコアが低いほど改善が大きく,4 点は変化がないことを示す).

結 果

304 例を無作為化し,152 例をプラゾシン群に,152 例をプラセボ群に割り付けた.10 週の時点で,プラゾシン群とプラセボ群とで CAPS 項目 B2 スコアのベースラインからの平均変化量(群間差 0.2,95%信頼区間 [CI] -0.3~0.8,P=0.38),PSQI スコアのベースラインからの平均変化量(群間差 0.1,95% CI -0.9~1.1,P=0.80),CGIC スコア(群間差 0,95% CI -0.3~0.3,P=0.96)のいずれにも有意差はなかった.26 週の時点でのこれらの項目(副次的評価項目)にも他の副次的評価項目にも有意差はなかった.10 週の時点で,仰臥位収縮期血圧のベースラインからの変化におけるプラゾシン群とプラセボ群との差の平均は -6.7 mmHg であった.有害事象である自殺念慮の発生または増悪は,プラゾシン群では 8%に認められたのに対し,プラセボ群では 15%に認められた.

結 論

慢性 PTSD を有する退役軍人を対象とした試験で,プラゾシンにより苦痛な夢が軽減することはなく,睡眠の質も改善しなかった.(退役軍人省共同研究プログラムから研究助成を受けた.PACT 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00532493)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2018; 378 : 507 - 17. )