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February 15, 2018 Vol. 378 No. 7

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遅発性脊髄性筋萎縮症におけるヌシネルセンと偽処置対照との比較
Nusinersen versus Sham Control in Later-Onset Spinal Muscular Atrophy

E. Mercuri and Others

背景

ヌシネルセンは,生存運動ニューロン 2 遺伝子(SMN2)のメッセンジャー RNA 前駆体スプライシングを修飾するアンチセンスオリゴヌクレオチド製剤である.脊髄性筋萎縮症(SMA)の治療薬として開発された.

方 法

SMA を生後 6 ヵ月以降に発症した患児 126 例を対象に,ヌシネルセンの多施設共同二重盲検偽処置対照第 3 相試験を行った.患児を,ヌシネルセン 12 mg を髄腔内投与する群(ヌシネルセン群)と偽処置を行う群(対照群)に 2:1 の割合で無作為に割り付け,1,29,85,274 日目に投与した.治療 15 ヵ月時点における,Hammersmith 運動機能評価尺度拡大版(HFMSE)スコアのベースラインからの変化量の最小二乗平均値を主要評価項目とした.HFMSE スコアは 0~66 点で,スコアが高いほど運動機能が良好であることを示す.副次的評価項目は,HFMSE スコアにベースラインからの臨床的に意味のある上昇(3 点以上)が認められた児の割合などとした.このスコア上昇は,運動技能が 2 つ以上改善したことを示す.

結 果

事前に規定した中間解析において,ヌシネルセン群ではベースラインから 15 ヵ月までの HFMSE スコアの最小二乗平均値が上昇し(4.0 点),対照群では低下し(-1.9 点),ヌシネルセン群の優越性を示す有意差が認められた(変化量における最小二乗平均値の差 5.9 点,95%信頼区間 3.7~8.1,P<0.001).この結果をもとに試験は早期に中止された.最終解析の結果は中間解析の結果と一致していた.最終解析によると,ベースラインから 15 ヵ月までに HFMSE スコアが 3 点以上上昇した児の割合は,ヌシネルセン群では 57%であったのに対し,対照群では 26%であり(P<0.001),有害事象の全体的な発現率はヌシネルセン群と対照群とで同程度であった(それぞれ 93%と 100%).

結 論

遅発性 SMA 患児のうちヌシネルセンを投与した例では,偽処置を行った例と比較して,運動機能に有意かつ臨床的に意味のある改善が認められた.(Biogen 社,Ionis Pharmaceuticals 社から研究助成を受けた.CHERISH 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02292537)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2018; 378 : 625 - 35. )