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November 22, 2018 Vol. 379 No. 21

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ピーナッツアレルギーに対する AR101 による経口免疫療法
AR101 Oral Immunotherapy for Peanut Allergy

The PALISADE Group of Clinical Investigators

背景

ピーナッツアレルギーは,ときに生命を脅かす,予測不能なアレルギー反応を起こすリスクがあるが,承認されている治療選択肢はない.

方 法

第 3 相試験で,ピーナッツアレルギーを有する 4~55 歳の参加者に二重盲検プラセボ対照食物負荷試験を行い,ピーナッツ蛋白 1 回 100 mg(ピーナッツ種子の約 1/3)までの負荷量で,用量を制限するアレルギー症状の有無をスクリーニングした.アレルギー反応を認めた参加者は用量漸増期に移行し,AR101(開発中のピーナッツ由来の生物学的経口免疫療法薬)を投与する群とプラセボを投与する群に,3:1 の割合で無作為に割り付けた.レジメンを完了した(維持レジメンである 300 mg/日の投与を約 24 週間受けた)参加者は,試験終了時に二重盲検プラセボ対照食物負荷試験を受けた.主要有効性評価項目は,用量を制限する症状を伴わずに負荷量 600 mg 以上を摂取することができた 4~17 歳の参加者の割合とした.

結 果

AR101 またはプラセボの投与を受けた 551 例のうち,496 例が 4~17 歳であった.そのうち,最終食物負荷試験で用量を制限する症状を伴わずに負荷量 600 mg 以上のピーナッツ蛋白を摂取することができたのは,実薬の投与を受けた 372 例では 250 例(67.2%)であったのに対し,プラセボの投与を受けた 124 例では 5 例(4.0%)であった(差 63.2 パーセントポイント,95%信頼区間 53.0~73.3,P<0.001).最終食物負荷試験中に認められた症状の最大重症度は,実薬群の 25%とプラセボ群の 59%では中等度であり,それぞれ 5%と 11%では重度であった.介入期間中は,4~17 歳の参加者の 95%超に有害事象が発現した.有害事象の重症度が軽度であったのは実薬群では 34.7%であったのに対し,プラセボ群では 50.0%であり,中等度であったのはそれぞれ 59.7%と 44.4%,重度であったのはそれぞれ 4.3%と 0.8%であった.18 歳以上の参加者では有効性は示されなかった.

結 論

重度のピーナッツアレルギーを有する小児・思春期児を対象とした経口免疫療法の第 3 相試験で,AR101 の投与により,プラセボと比較して,最終食物負荷試験で用量を制限する症状を伴わずに摂取することができるピーナッツ蛋白量が増加し,ピーナッツ曝露中に発現する症状の重症度が低下した.(Aimmune Therapeutics 社から研究助成を受けた.PALISADE 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02635776)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2018; 379 : 1991 - 2001. )