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November 22, 2018 Vol. 379 No. 21

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胃腸炎の小児に対する 2 種配合プロバイオティクスの多施設共同試験
Multicenter Trial of a Combination Probiotic for Children with Gastroenteritis

S.B. Freedman and Others

背景

毎年,米国の小児の救急部受診の約 170 万件は胃腸炎が占める.プロバイオティクスの使用によってこのような児の転帰が改善するかを判断するためのデータは不足している.

方 法

カナダの 6 ヵ所の小児救急部を受診した,3~48 ヵ月齢の胃腸炎の小児 886 例を対象に無作為化二重盲検試験を行った.参加者は 4.0×109 コロニー形成単位の Lactobacillus rhamnosus R0011 と L. helveticus R0052 を配合したプロバイオティクス製剤 1 日 2 回 5 日間のコースまたはプラセボ投与を受けた.主要転帰は,登録後の修正 Vesikari スケールの症状スコア(0~20 点で,スコアが高いほど重症であることを示す)が 9 点以上と定義される中等症~重症の胃腸炎とした.副次的転帰は,下痢と嘔吐の持続時間,予定外に医師を受診した小児の割合,有害事象の有無などとした.

結 果

登録後 14 日以内の中等症~重症の胃腸炎は,プロバイオティクスに割り付けられた 414 例中 108 例(26.1%)とプラセボに割り付けられた 413 例中 102 例(24.7%)に発生した(オッズ比 1.06,95%信頼区間 [CI] 0.77~1.46,P=0.72).試験施設,年齢,便中のロタウイルス検出,登録前の下痢と嘔吐の頻度で補正後も,試験群への割付けは中等症~重症の胃腸炎を予測しなかった(オッズ比 1.06,95% CI 0.76~1.49,P=0.74).プロバイオティクス群とプラセボ群とのあいだに,下痢の持続時間の中央値(それぞれ 52.5 時間 [四分位範囲 18.3~95.8] と 55.5 時間 [四分位範囲 20.2~102.3],P=0.31)および嘔吐の持続時間の中央値(17.7 時間 [四分位範囲 0~58.6] と 18.7 時間 [四分位範囲 0~51.6],P=0.18),予定外に医療提供者を受診した参加者の割合(30.2%と 26.6%,オッズ比 1.19,95% CI 0.87~1.62,P=0.27),有害事象を報告した参加者の割合(34.8%と 38.7%,オッズ比 0.83,95% CI 0.62~1.11,P=0.21)に有意差は認められなかった.

結 論

胃腸炎で救急部を受診した小児において,L. rhamnosusL. helveticus を配合したプロバイオティクス製剤の 1 日 2 回投与は,登録後 14 日以内の中等症~重症の胃腸炎の発症を予防しなかった.( カナダ国立保健研究機構ほかから研究助成を受けた.PROGUT 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01853124)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2018; 379 : 2015 - 26. )