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November 29, 2018 Vol. 379 No. 22

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急性冠症候群後のアリロクマブと心血管転帰
Alirocumab and Cardiovascular Outcomes after Acute Coronary Syndrome

G.G. Schwartz and Others

背景

急性冠症候群を発症した患者は,虚血性心血管イベントの再発リスクが高い.われわれは,高用量スタチン療法を受けている患者における急性冠症候群後の心血管転帰が,前駆蛋白転換酵素サブチリシン/ケキシン 9 型(PCSK9)を阻害するヒト型モノクローナル抗体であるアリロクマブによって改善するかどうかを検討した.

方 法

1~12 ヵ月前に急性冠症候群を発症し,低比重リポ蛋白(LDL)コレステロール値 70 mg/dL(1.8 mmol/L)以上,非高比重リポ蛋白コレステロール値 100 mg/dL(2.6 mmol/L)以上,またはアポリポ蛋白 B 値 80 mg/dL 以上であり,高用量または最大耐用量のスタチン療法を受けている患者 18,924 例を対象に,多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験を行った.患者を,アリロクマブ 1 回 75 mg を 2 週ごとに皮下投与する群(9,462 例)と,マッチさせたプラセボを投与する群(9,462 例)に無作為に割り付けた.アリロクマブの用量は,LDL コレステロールの目標値 25~50 mg/dL(0.6~1.3 mmol/L)を達成するように盲検下で調節した.主要エンドポイントは冠動脈疾患による死亡,非致死的心筋梗塞,致死的・非致死的脳梗塞,入院を要する不安定狭心症の複合とした.

結 果

追跡期間中央値は 2.8 年であった.複合主要エンドポイントのイベントは,アリロクマブ群の 903 例(9.5%)とプラセボ群の 1,052 例(11.1%)に発生した(ハザード比 0.85,95%信頼区間 [CI] 0.78~0.93,P<0.001).アリロクマブ群の 334 例(3.5%)とプラセボ群の 392 例(4.1%)が死亡した(ハザード比 0.85,95% CI 0.73~0.98).複合主要エンドポイントに関するアリロクマブの絶対利益は,ベースラインの LDL コレステロール値が 100 mg/dL 以上であった患者のほうが,それよりも低かった患者よりも大きかった.有害事象の発現率は,局所注射部位反応(アリロクマブ群 3.8% 対 プラセボ群 2.1%)を除いて,2 群で同程度であった.

結 論

急性冠症候群の既往があり,高用量スタチン療法を受けている患者のうち,アリロクマブを投与した例では,プラセボを投与した例よりも虚血性心血管イベントの再発リスクが低かった.(Sanofi 社,Regeneron Pharmaceuticals 社から研究助成を受けた.ODYSSEY OUTCOMES 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01663402)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2018; 379 : 2097 - 107. )