内科疾患に対するメディケアの包括支払戦略の評価
Evaluation of Medicare’s Bundled Payments Initiative for Medical Conditions
K.E. Joynt Maddox and Others
メディケア・メディケイドイノベーションセンター(CMMI)は,2013 年に医療改善のための包括支払(BPCI)戦略を開始した.その後の研究で,この戦略は人工関節全置換術に対するメディケア支払額の減少に関連することが示されたが,内科疾患に対する影響についてはほとんどわかっていない.
2013~15 年のメディケア請求データを用いて,BPCI で選択される頻度の高い 5 つの内科疾患,すなわち,うっ血性心不全(CHF),肺炎,慢性閉塞性肺疾患(COPD),敗血症,急性心筋梗塞(AMI)による入院を特定した.difference-in-differences(DID)分析を用いて,BPCI 参加病院とマッチさせた対照病院での,これらの疾患に対する診療エピソード(入院診療+退院後 90 日間の外来診療と定義)1 件あたりの標準化したメディケア支払額の変化を評価した.
CHF について BPCI に参加した病院は 125 施設,肺炎については 105 施設,COPD については 101 施設,敗血症については 88 施設,AMI については 73 施設であった.BPCI 参加病院における 5 疾患全体の診療エピソードあたりのメディケア支払額の平均は,ベースラインでは 24,280 ドルであったが,介入期には 23,993ドルに減少した(差 -286 ドル,P=0.41).対照病院での全エピソードに対する支払額の平均は 23,901 ドルであったが,介入期には 23,503 ドルに減少した(差 -398 ドル,P=0.08,DID 112 ドル,P=0.79).臨床診療の複雑性,入院期間,退院後 30 日または 90 日以内の救急受診・再入院,入院後 30 日または 90 日以内の死亡におけるベースラインから介入期までの変化に,BPCI 参加病院と対照病院とのあいだで有意差は認められなかった.
病院が BPCI のもとで請求の多い 5 つの内科疾患に対する包括支払に参加することは,メディケア支払額,臨床診療の複雑性,入院期間,救急受診,再入院,死亡率の有意な変化に関連しなかった.(Commonwealth Fund から研究助成を受けた.)