The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

August 2, 2018 Vol. 379 No. 5

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

小児におけるリファンピンとイソニアジドの安全性と副作用の比較
Safety and Side Effects of Rifampin versus Isoniazid in Children

T. Diallo and Others

背景

小児は生命を脅かす様態の結核に対して脆弱であるため,小児における潜在性結核感染の治療は重要である.現在の標準治療である 9 ヵ月間のイソニアジド投与は,アドヒアランス不良と毒性を伴い,有効性が制限されている.成人では,4 ヵ月間のリファンピン(rifampin)投与のほうが 9 ヵ月間のイソニアジド投与よりも安全性が高く,治療完了率も高いことが示されている.

方 法

多施設共同非盲検試験で,潜在性結核感染を有する 844 例の小児(18 歳未満)を,4 ヵ月間リファンピンを投与する群と 9 ヵ月間イソニアジドを投与する群に無作為に割り付けた.試験薬の恒久的中止にいたったグレード 1~5 の有害事象を主要転帰とした.治療遵守率,副作用プロファイル,有効性を副次的転帰とした.有害事象と活動性結核への進行はすべて,試験群の割付けを知らないメンバーから成る独立判定委員会によって判定された.

結 果

無作為化された児のうち,829 例が修正 intention-to-treat解析の組入れ基準を満たした.プロトコールどおり(per-protocol)の治療を完了した児は,リファンピン群では 422 例中 360 例(85.3%)であったのに対し,イソニアジド群では 407 例中 311 例(76.4%)であった(補正後の治療完了率の差 13.4 パーセントポイント,95%信頼区間 [CI] 7.5~19.3).有害事象の発現率に群間で有意差は認められず,試験薬に関連する可能性があると考えられたグレード 1 または 2 の有害事象が認められた児は,2 群を併せて 5%未満であった.イソニアジド群では,542 人年の追跡期間中に,イソニアジド耐性を示す 1 例を含む 2 例で活動性結核が診断されたのに対し,リファンピン群では,562 人年の追跡期間中に診断された児はいなかった(診断率の差 100 人年あたり -0.37 件,95% CI -0.88~0.14).

結 論

18 歳未満の小児において,4 ヵ月間のリファンピン投与は,9 ヵ月間のイソニアジド投与と比較して安全性と有効性は同程度であったが,遵守率はより良好であった.(カナダ国立保健研究機構,ブラジル国家科学技術開発審議会から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00170209)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2018; 379 : 454 - 63. )