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January 9, 2020 Vol. 382 No. 2

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無症状の大動脈弁狭窄症に対する早期手術と保存的治療との比較
Early Surgery or Conservative Care for Asymptomatic Aortic Stenosis

D.-H. Kang and Others

背景

重症大動脈弁狭窄症を有する無症状の患者に対する外科的介入のタイミングと適応については議論が続いている.

方 法

多施設共同試験で,非常に重症の大動脈弁狭窄症(大動脈弁口面積 0.75 cm2 以下,かつ大動脈弁最高血流速度 4.5 m/秒以上または平均圧較差 50 mmHg 以上と定義)を有する無症状の患者 145 例を,早期に手術を行う群と,現在のガイドラインの推奨に従って保存的治療を行う群に無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,術中もしくは術後 30 日以内の死亡(手術死亡と呼ばれることが多い)または全追跡期間中の心血管系の原因による死亡の複合とした.主な副次的エンドポイントは追跡期間中の全死因死亡とした.

結 果

早期手術群では,73 例中 69 例(95%)が無作為化後 2 ヵ月以内に手術を受け,手術死亡はなかった.intention-to-treat 解析で,主要エンドポイントのイベントは早期手術群では 1 例(1%),保存的治療群では 72 例中 11 例(15%)に発生した(ハザード比 0.09,95%信頼区間 [CI] 0.01~0.67,P=0.003).全死因死亡は早期手術群では 5 例(7%),保存的治療群では 15 例(21%)に発生した(ハザード比 0.33,95% CI 0.12~0.90).保存的治療群では,突然死の累積発生率は 4 年の時点で 4%,8 年の時点で 14%であった.

結 論

非常に重症の大動脈弁狭窄症を有する無症状の患者において,手術死亡または追跡期間中の心血管系の原因による死亡から成る複合エンドポイントの発生率は,早期に大動脈弁置換術を受けた患者のほうが,保存的治療を受けた患者よりも有意に低かった.(韓国医学研究所から研究助成を受けた.RECOVERY 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01161732)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2020; 382 : 111 - 9. )