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January 9, 2020 Vol. 382 No. 2

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比較的低リスクの骨髄異形成症候群患者におけるラスパテルセプト
Luspatercept in Patients with Lower-Risk Myelodysplastic Syndromes

P. Fenaux and Others

背景

赤血球造血刺激因子製剤療法抵抗性の貧血と比較的低リスクの骨髄異形成症候群を有する患者は通常,赤血球輸血に依存するようになる.ラスパテルセプト(luspatercept)は,SMAD2 と SMAD3 のシグナル伝達を抑制させるために,トランスフォーミング増殖因子βスーパーファミリーのリガンドと結合する組換え融合蛋白であり,第 2 相試験で有望な結果を示した.

方 法

二重盲検プラセボ対照第 3 相試験で,環状鉄芽球を伴う超低リスク,低リスク,中等度リスクの骨髄異形成症候群(国際予後判定システム改訂版に従って定義)を有し,定期的に赤血球輸血を受けている患者を,ラスパテルセプト(1.0~1.75 mg/kg 体重)群とプラセボ群に無作為に割り付け,3 週ごとに皮下投与した.主要エンドポイントは第 1~24 週における 8 週間以上の輸血非依存状態とし,主な副次的エンドポイントは第 1~24 週,第 1~48 週の両方における評価で,12 週間以上の輸血非依存状態とした.

結 果

登録された 229 例のうち,153 例がラスパテルセプト群,76 例がプラセボ群に無作為に割り付けられた.ベースラインの患者背景は均衡がとれていた.8 週間以上の輸血非依存状態が確認された患者の割合は,ラスパテルセプト群では 38%であったのに対し,プラセボ群では 13%であった(P<0.001).主な副次的エンドポイントを達成した患者の割合はラスパテルセプト群のほうがプラセボ群よりも高かった(第 1~24 週は 28% 対 8%,第 1~48 週は 33% 対 12%,いずれの比較も P<0.001).ラスパテルセプトに関連する有害事象(グレードを問わず)でとくに頻度が高かったのは,疲労,下痢,無力症,悪心,めまいなどであった.有害事象の発現率は経時的に低下した.

結 論

ラスパテルセプトは,環状鉄芽球を伴う比較的低リスクの骨髄異形成症候群を有し,定期的に赤血球輸血を受けていて,赤血球造血刺激因子製剤に対し抵抗性を示すか反応する可能性が低い,もしくは有害事象によりこれらの製剤を中止した患者において,貧血の重症度を低下させた.(セルジーン社,アクセルロン ファーマ社から研究助成を受けた.MEDALIST 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02631070,EudraCT 登録番号 2015-003454-41)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2020; 382 : 140 - 51. )