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June 4, 2020 Vol. 382 No. 23

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カリフォルニア州における拳銃の所有と自殺
Handgun Ownership and Suicide in California

D.M. Studdert and Others

背景

銃器が入手可能であることが自殺の危険因子であると,複数の研究が一貫して示している.しかし,既存の研究は規模が比較的小さく,推定値のばらつきが大きく,そして銃器の所有開始からリスクを追跡した研究はないと思われる.

方 法

カリフォルニア州在住で拳銃の取得歴がない 21 歳以上の男女 2,630 万人のコホートで,拳銃の取得と死亡を同定した.コホートの構成員を最長で 12 年 2 ヵ月(2004 年 10 月 18 日~2016 年 12 月 31 日)のあいだ追跡した.生存解析を用いて,拳銃の所有と,全死因死亡および自殺(銃器によるものとその他の方法によるもの)との関連を男女で推定した.解析では,地域によるベースラインのハザードのばらつきを許容し,年齢,人種・民族グループ,長銃(ライフルまたはショットガン)の所有で補正した.

結 果

676,425 人が拳銃を 1 丁以上取得し,1,457,981 人が死亡した.自殺による死亡は 17,894 人で,このうち 6,691 人が銃器による自殺であった.方法を問わない自殺率は拳銃所有者のほうが高く,男性の所有者の非所有者に対する補正後のハザード比は 3.34(95%信頼区間 [CI] 3.13~3.56)であり,女性の所有者の非所有者に対するハザード比は 7.16(95% CI 6.22~8.24)であった.このような拳銃所有者における自殺率の高さは,銃器による自殺率が男女とも拳銃所有者のほうがはるかに高いことに起因し,ハザード比は男性で 7.82(95% CI 7.26~8.43),女性で 35.15(95% CI 29.56~41.79)であった.拳銃所有者のその他の方法による自殺率と全死因死亡率は,非所有者よりも高くなかった.拳銃所有者における銃器による自殺のリスクは,銃器を最初に取得した直後が最大であったが,拳銃所有者における銃器による自殺の全体の 52%は,取得後 1 年以上経過してから発生した.

結 論

拳銃の所有は,銃器による自殺のリスクが大きく上昇し,持続することに関連している.(Fund for a Safer Future ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2020; 382 : 2220 - 9. )