急性間欠性ポルフィリン症に対する RNAi 治療薬ギボシランの第 3 相試験
Phase 3 Trial of RNAi Therapeutic Givosiran for Acute Intermittent Porphyria
M. Balwani and Others
δ-アミノレブリン酸(ALA)とポルフォビリノーゲンの蓄積をもたらす肝臓のδ-アミノレブリン酸合成酵素 1(ALAS1)のアップレギュレーションが,急性肝性ポルフィリン症の急性発作と慢性症状の病因の中心である.RNA 干渉(RNAi)治療薬ギボシラン(givosiran)は ALAS1 の発現を阻害する.
二重盲検プラセボ対照第 3 相試験において,症候性の急性肝性ポルフィリン症患者を,6 ヵ月にわたりギボシラン(2.5 mg/kg 体重)を月 1 回皮下投与する群とプラセボを投与する群に無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,急性肝性ポルフィリン症のもっとも頻度の高い病型である,急性間欠性ポルフィリン症の患者における複合ポルフィリン症発作の年間発生率とした.(複合ポルフィリン症発作は,入院,緊急受診,自宅での静脈内ヘミン投与にいたった発作とした.) 重要な副次的エンドポイントは,急性間欠性ポルフィリン症患者における ALA とポルフォビリノーゲンの濃度,ヘミンの使用日数,1 日最大疼痛スコアのほか,急性肝性ポルフィリン症患者における発作の年間発生率とした.
94 例が無作為化された(ギボシラン群 48 例,プラセボ群 46 例).このうち急性間欠性ポルフィリン症の 89 例における発作の年間発生率の平均は,ギボシラン群で 3.2,プラセボ群で 12.5 であり,ギボシラン群のほうが 74%低く(P<0.001),急性肝性ポルフィリン症の 94 例における結果も同様であった.急性間欠性ポルフィリン症患者のうち,ギボシランの投与を受けた患者では,プラセボの投与を受けた患者よりも尿中の ALA とポルフォビリノーゲンの濃度が低く,ヘミンの使用日数が少なく,1 日疼痛スコアが良好であった.ギボシラン群のほうが頻度が高かった重要な有害事象は,血清アミノトランスフェラーゼ値上昇,血清クレアチニン値と推算糸球体濾過量の変化,注射部位反応であった.
急性間欠性ポルフィリン症患者のうち,ギボシランの投与を受けた患者は,プラセボの投与を受けた患者よりもポルフィリン症発作の発生率が有意に低く,その他の複数の症状についても結果が良好であった.高い有効性に伴い,肝臓と腎臓の有害事象の発現頻度も高くなった.(アルナイラム・ファーマシューティカルズ社から研究助成を受けた.ENVISION 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03338816)