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February 20, 2020 Vol. 382 No. 8

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南アジア農村部における高血圧管理のためのコミュニティベースの介入
A Community-Based Intervention for Managing Hypertension in Rural South Asia

T.H. Jafar and Others

背景

低・中所得国では高血圧の負担が増大しており,血圧のコントロール率は低い.農村地域では心血管系死亡率が高い.

方 法

バングラデシュ,パキスタン,スリランカの農村地域でクラスター無作為化比較試験を行った.30 のコミュニティを,多因子介入を行う群(介入群)と通常のケアを行う群(対照群)に無作為に割り付けた.介入は,血圧の観察とカウンセリングを目的として訓練を受けた自治体のコミュニティヘルスワーカーによる自宅訪問,医師の訓練,公共部門でのケアの調整などとした.高血圧を有する成人 2,645 例を組み入れた.主要転帰は,24 ヵ月の時点での収縮期血圧の低下とした.24 ヵ月の時点での追跡調査を完了した参加者は 90%を超えた.

結 果

ベースラインの平均収縮期血圧は介入群 146.7 mmHg,対照群 144.7 mmHg であった.24 ヵ月の時点で,平均収縮期血圧は介入群では 9.0 mmHg 低下し,対照群では 3.9 mmHg 低下し,低下量の平均は介入群のほうが 5.2 mmHg(95%信頼区間 [CI] 3.2~7.1)大きかった(P<0.001).拡張期血圧の低下量の平均は介入群のほうが対照群よりも 2.8 mmHg(95% CI 1.7~3.9)大きかった.血圧コントロール(<140/90 mmHg)は介入群では 53.2%が達成したのに対し,対照群では 43.7%であった(相対リスク 1.22,95% CI 1.10~1.35).全死因死亡率は介入群 2.9%,対照群 4.3%であった.

結 論

バングラデシュ,パキスタン,スリランカの農村地域のコミュニティにおいて,高血圧を有する成人に対し,既存の公的医療インフラと連携をとることのできる,訓練を受けた自治体のコミュニティヘルスワーカーによる積極的な自宅訪問を中心とする多因子介入を行った結果,通常のケアと比較して血圧が大きく低下した.(Joint Global Health Trials 計画から研究助成を受けた.COBRA-BPS 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02657746)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2020; 382 : 717 - 26. )